公式アカウント

「外国人は市民」の文言削除、改正案が可決

2023年10月05日 12:18 社会を知る~今週のnewsトピック~

日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。

アイルランドで黒人選手への差別

アイルランドで開催された体操大会の授賞式で、整列した出場者のうち、黒人選手にのみメダルを渡さなかった場面を撮影した動画が、SNS上で拡散され物議をかもしている。

問題となっている大会は昨年3月、アイルランドの首都・ダブリンであった体操大会「ジム・スタート」。拡散された動画には、同大会の授賞式中、出場した子どもたちが順番にメダルを受ける中、同様に並んでいた黒人少女だけがメダルを授与されなかった。

これと関連し9月25日、アイルランドの体操協会が声明を発表。当該選手と家族に対し謝罪した。

一方、動画拡散後、2016年のリオデジャネイロオリンピック・体操競技で、女子団体、個人総合などの4種目で金メダルを獲得したシーモン・バイルス氏が、「人種差別は許されない」とする立場をX(旧ツイッター)に投稿した。

協会が謝罪を表明した25日の声明では、再発防止策に臨むなどと言及しながら、今後、「いかなる形の差別も非難する」との姿勢を明らかにした。

「外国人は市民」の文言削除、改正案が可決

9月27日の熊本市議会本会議で、「市民」を定義する規定に「外国人」を加えるか否かが注目されていた自治体基本条例の改正案が可決された。改正案は、当初「市民」の定義として加える方向だった「外国人」に関する文言を削除した形で可決されるに至った。

2010年4月、「市政や街づくりへの市民参加を促す」目的で施行された熊本市の自治体基本条例は、「市民」を、①市内に住所がある、②市内に通勤・通学する、③市内の事業者・地域団体・市民活動団体─と規定していた。

改正案では、外国籍をもつ人であっても①~③の要件に該当する場合、「市民」に含むことを明記していたが、SNS上で「将来、外国人参政権を認めることにつながる」「外国人に乗っ取られる」など、誤解や事実に基づかない書き込みが拡散されるや、「地域が混乱するなら、明文化は時期尚早」(今年3月)だとして、市が方針を変更する事態に。オールドカマーのみならず、近年では多くの外国人労働者が日本各地に暮らす中、「外国人」が「市民」として認められないという社会の実相を見せる一例となった。

沖縄県の反差別条例、氏名公表に関し審議会発足

沖縄県では今年4月、ヘイトスピーチを規制する「沖縄県差別のない社会づくり条例」が施行された。同条例には、都道府県条例で初となる加害者の氏名公表制度が盛り込まれた。

この条例と関連し、9月26日、ヘイトスピーチを行った加害者の氏名公表に関して助言する県審議会が発足された。地元メディアによると、ヘイトスピーチに関する通報は、県外および匿名でも受けつけることが決まったという。

条例は今年2月の県議会本会議で、賛成20、反対18の賛成多数で可決。3月30日に成立した。同条例では、▼人種、国籍、性別などを理由とした差別の禁止▼県民であることを理由とした差別の解消▼外国人差別があった場合に実行者の氏名と発言内容の公表―などを規定する一方で、一方、罰則について「過度な規制」になるとして、導入が見送られ、事実上、理念法にとどまるといった課題が残る。

また今年に入り、那覇市の居酒屋で、「ジャパニーズオンリー」と書いた紙を店の入口に貼り、外国人の入店を拒否していた事例が明らかになるなど、行政のより積極的な啓発が求められるのが現状だ。

(朝鮮新報)

あわせて読む

Facebook にシェア
LINEで送る