〈社会を知る〉ヘイト裁判で被告側主張の矛盾点指摘


日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。

国連特別報告者、軍事独裁時代の人権侵害調査

過去の歴史にまつわる人権侵害実態などを調査するため南朝鮮を訪れた国連特別報告者(「真実、正義、賠償および再発防止促進」に関する特別報告者)のファビアン・サルビオリ氏が、南朝鮮政府に対し、軍事独裁政権時代の人権侵害に関する真相および責任究明、包括的な賠償、被害回復に向けて努力すべきだと主張した。

また日本軍性奴隷制をはじめとする第三国が介入した人権侵害問題は、関係国が責任究明および賠償などに取り組み、南朝鮮政府も関係国が被害救済措置をとるよう積極的に促すべきだとした。

8日から15日まで南朝鮮を訪問したサルビオリ報告者は、15日、ソウル市内で行われた記者会見で、南政府による人権侵害の歴史清算が総合的に行われておらず、不十分だと指摘。南政府に対し、「たった一つの悲劇も、ただ一人の犠牲者も認められないことがあってはならない」と訴え、真相究明はもとより被害者への賠償と名誉回復の措置を講じるよう求めた。

調査と関連しては、来年9月の国連人権理事会で、最終調査報告書が発表される予定。南で公表された報道資料によれば、具体的な勧告が含まれる可能性が見込まれている。

都でパートナーシップ宣誓制度可決

同性カップルなど性的マイノリティの人たちがパートナーシップ関係であることを公的に認める「東京都パートナーシップ宣誓制度」を盛り込んだ改正人権尊重条例が15日、都議会本会議で全会一致で可決した。10月11日から届け出の受付が始まり、11月から運用開始される。「多様な性に関する都民の理解を推進するとともに、パートナーシップ関係に係る生活上の不便の軽減など、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげる」を目的としている。

制度はカップルのどちらかが都内在住、在勤、在学者であれば申請できる。宣誓を申し込んだカップルには証明書が発行され、希望者には子どもの名前なども載せることが可能。都は、証明書を都民サービスにで利用できるよう検討を進めている。

また同日、都議会は都営住宅に関する改正条例案も可決。宣誓したカップルは、11月から都営住宅への入居を申し込める。

名古屋入管職員、全員不起訴

昨年3月、名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)の収容施設でスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した問題で、名古屋地検は17日、殺人容疑で告訴されていた当時の幹部など名古屋入管職員13人を不起訴処分にした。

報道によると、事件を担当した金山陽一次席検事は「死因の特定に至らず、不作為による殺人や殺意を認める証拠がなかった」と説明。職員の行為と死亡との因果関係を認定できなかったとしている。

ウィシュマさんは、2020年8月に収容され、昨年1月以降、嘔吐などの体調不良を訴えたが適切な治療を受けられず同3月に亡くなった。遺族は昨年11月に当時の看守責任者らを殺人未遂で刑事告訴していた。

遺族側弁護士は不起訴を不服として、検察審査会に申し立てる意向を示している。

一方、ウィシュマさんの遺族は国に約1億5000万円の損害賠償を求め今年3月に名古屋地裁へ提訴、6月8日に第1回口頭弁論が行われた。

米・横田基地の騒音被害訴え

米軍横田基地(東京都)の周辺住民1300人が20日、米軍機と自衛隊機の騒音による健康被害があったとして、夜間早朝の飛行差し止めと損害賠償を国に求める訴訟(第3次新横田基地公害訴訟)を東京地裁立川支部に起こした。騒音による耳鳴りや難聴の健康被害、睡眠妨害を訴えている。

横田基地裁判は1976年4月、航空機の夜間飛行差し止めと被害の救済を求め住民らが提訴したことに始まった。96年(第1次新横田基地公害訴訟)、2013年(第2次新横田基地公害訴訟)に同様の裁判を起こしたが、いずれも最高裁は、夜間早朝の飛行差し止めを認めない判決を確定させた。

今回の裁判では、低周波音被害が深刻とされる米軍輸送機CV22オスプレイ(2018年配備)の飛行禁止を新たに訴えている。

大阪地裁、同性婚認めぬは「合憲」

同性婚を認めない民法や戸籍法の規定が憲法違反に当たるとして、京都府や香川県などの同性カップル3組が国に1人100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、大阪地裁であった。大阪地裁は同性婚を認めない民法などの規定は「合憲」であると判断し、原告の訴えを棄却した。原告側は控訴する方針だという。

原告側は婚姻の自由を保障する憲法24条をもとに、性別の差異に関わらず相手との合意があれば結婚が成立すると主張。同性婚が認められないことで相続の権利などを得られず、法の下の平等を保障した憲法14条にも違反すると訴えた。

これに対し土井文美裁判長は、憲法24条が「異性間の婚姻のみを指し、同性間の婚姻を含まないと認めるのが相当」と判断。また異性間の婚姻で得られる法的利益との差は違憲とは認められないとした。

同様の裁判は各地5カ所で行われており、昨年3月には札幌地裁が同性婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に反するという判決を出していた。

被告の主張の矛盾点指摘

インターネット上で4年以上にわたり匿名の差別投稿を繰り返され、精神的苦痛を受けたとして、多文化交流施設「ふれあい館」(神奈川県川崎市)の館長を務める崔江以子さんが、茨城県在住の篠内広幸被告に305万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が16日、横浜地裁川崎支部であった。

男性は2016年6月「ハゲタカ鷲津政彦のブログ『愛する日本国を取り戻す!!』」で「日本国に仇なす敵国人め。さっさと祖国へ帰れ」などと崔さんに対するヘイトスピーチを投稿。同9月、崔さんは法務省人権擁護局に救済申し立てを行い、同ブログを含めた2件のブログ記事に対して削除を依頼した。法務省は当該ブログが人権侵犯事案に当たると判断し、ブログは削除された。

被告側はこの日の裁判に合わせ、投稿が崔さんに向けたものではなく、そうであっても排斥するつもりはないと主張する書面を提出。一方で提訴前に崔さん宛に送った手紙には「誹謗中傷を行い、人格権を傷つけ名誉を侵害したことを心よりおわびします」と記していたことから、原告側は裁判で、被告の主張の矛盾点を指摘した。

口頭弁論後の報告集会で原告側弁護団は、今後、被告側の反論について再反論し、差別的言動は不法行為に当たることを主張していく意向を示した。

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