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福島原発事故の影響でがんに、集団訴訟はじまる

2022年06月01日 19:24 社会を知る~今週のnewsトピック~

日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。

日本映画撮影監督協会が声明

5月20日、劇場用映画をはじめ映像作品の撮影に従事する人々で構成される日本映画撮影監督協会(JSC)は声明を発表し、昨今表面化している日本の映画業界での性暴力について反対する立場を明らかにした。

声明では、日本映画の撮影現場が長きにわたり「徒弟的な制度、男女の不平等是認などにより、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントが起きやすい環境」にあったとしながら、ハラスメント行為とジェンダー差別の根絶に向けて今後積極的に行動していくとした。

声明では、安心・安全な撮影現場づくりのために、性暴力事例に関する調査や第三者調査委員会の設置なども言及された。

被害者侮辱する展示

排外主義団体「日本第一党」が5月21日~22日に「表現の不自由展東京2022」を開き、性奴隷制被害者を侮辱し、歴史否定を主張する展示を行った。

「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の元会長である桜井誠を党首とする同団体はこれまでも在日朝鮮人や朝鮮学校へのヘイトスピーチを繰り返し行ってきた排外主義者らで構成されている。

同団体のHPによると、展示会には約130人が来場。開催期間中に配信された動画では、日本軍性奴隷制被害者を象徴する「平和の少女像」に見立てた立体展示物の前で、桜井誠が被害者らを侮辱する発言を行うなどしていた。

DHC、面会応じず

化粧品会社DHCの吉田嘉明会長が自社HPに掲載した差別発言をめぐり、今年3月、日本弁護士連合会が同社に対し「警告」したことを受け、人権団体「多民族共生人権教育センター」が5月25日、同社本社を訪れ面会を申し込んだ。センターの要請にDHC側は応じなかった。

日弁連は3月28日、問題となった「会長メッセージ」(2016年2月)、「ヤケクソくじについて」(2020年11月)と題した吉田会長名義の2つの投稿が、在日朝鮮人に対する差別や人権侵害に該当すると指摘。しかし同社は当時から無視を決め込んでいる。

これと関連し、日弁連に救済申し立てをした「多民族共生人権教育センター」は、DHCに対し5月18日に面会を求める文書を送り、1週間後に訪問することを通告。同社は直前まで反応を見せないまま、訪問当日、センター関係者に「対応しかねる」と返答したという。センター側は今後も面会の場を設けるう、要請する方針だという。

名古屋市の支払い拒否認めず

2019年8月1日から約2か月間、愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会(会長=大村秀章・愛知県知事)が名古屋市に対し、未払いの負担金を支払うよう求めた訴訟の判決が5月25日、名古屋地裁(岩井直幸裁判長)であった。

裁判所は、原告側の請求を認め、名古屋市に未払い分約3380万円の支払いを命じた。

名古屋市は芸術祭の開催前に、負担金約1億7100万円の交付を決定したが、日本軍性奴隷制問題を扱った企画展「表現の不自由展・その後」の展示作品に対し、一部で抗議の声があがったことを受け、河村たかし市長は「日本人の心を踏みにじる」などと強く批判。その後、市は、当初の交付決定額に満たない約1億3700万円を交付した。実行委では未払い分の支払いを求め、20年5月に提訴していた。

判決は、市側が不払い正当化の理由にあげた「芸術祭は公共事業」だとする主張に対し「公共事業ではない」と判断。また展示作品の違法性についても否定し、市側の主張を退けた。市側は控訴する意向を示しているという。

性暴行の米兵に実刑判決

昨年10月、沖縄市内で女性に性的暴行を加えようとし、けがを負わせたとして、強制性交等致傷の罪に問われていた米海兵隊員上等兵のジョーダン・ビゲイ(22)被告の裁判員裁判の判決で、那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)は5月26日、懲役4年6ヵ月の実刑を言い渡した。各紙報道によると、佐藤裁判長は、判決で「首を絞めるといった危険性の高い暴行を加え、犯行態様は悪質だ。体格差のある被告から突如襲われた被害者の恐怖感や精神的苦痛は相当に大きい」と述べた。

事件は現場の近隣住民による通報で発覚。被告は、面識のない女性を狙って犯行に及んだ後、米基地内に逃げ込んだことが明らかになっている。

福島原発事故の影響でがんに

2011年の東京電力福島第一原発事故の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた6歳から16歳の子どもたち6人が原告となり、今年1月、東京電力に対し損害賠償を求める裁判を起こした。事故から11年が経過した時点で提起された同訴訟は、東京電力を相手に放射線被ばくの影響について起こされた初の集団訴訟となる。

各紙の報道によると、原告全員が甲状腺の摘出手術を行い、6人のうち4人が再発。肺への遠隔転移を指摘されている対象もいるという。

5月26日には、第1回期日が開かれ、原告側から「甲状腺がんの原因が事故による被ばくだ」と代理人弁護士が主張したほか、原告の女性が「将来の夢より治療を優先し、大学もやめざるをえませんでした。裁判を通じ患者の救済が実現することを願います」と涙ながらに訴えたという。次回期日は9月に予定されている。

懲戒請求者へ賠償命令相次ぐ

朝鮮学校への適正な補助金交付を求める東京弁護士会の声明(2016年4月)などを理由に、弁護士らに大量の懲戒請求が届いた事件。当該弁護士らが懲戒請求者を相手に起こした訴訟で、賠償を命じる判決が続いている。

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