〈社会を知る〉国に賠償命令、8年前の入管収容者死亡


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国に賠償命令、8年前の入管収容者死亡

茨城県牛久市の入管施設「東日本入国管理センター」で2014年3月、収容中のカメルーン人の男性(当時43)が死亡したのは適切な医療を受けさせなかったためだとして、遺族が国に対し、1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。水戸地方裁判所(阿部雅彦裁判長)は、入管施設職員らの注意義務違反を認め、国に165万円の賠償を命じた。16日付。

判決によると、男性は収容される前年の13年10月に来日、成田空港に到着したが上陸を認められず、退去命令にも応じなかったため、翌11月から同施設に収容された。糖尿病の薬を服用していた男性は、その後、度々体調不良を訴えていたが14年3月30日、心肺停止状態になっているのを職員が確認、その後まもなく死亡が確認された。

この日の判決で、阿部裁判長は、男性が死亡する1ヵ月前から胸の痛みを医師に訴えて薬を処方されていたこと、亡くなる前日の夜には、「死にそうだ」などと繰り返し訴えていたことに言及。そのうえで、医療機関に救急搬送し医療措置を受けさせるよう判断すべきだったとして、入管職員らの注意義務違反を認定した。一方で、遺族側が主張した職員の不適切な対応と男性の死亡との因果関係については認めなかった。今後、控訴するかどうかは、男性の遺族と話して決めるという。

国に賠償を命じた同判決を受け、葉梨康弘法相は20日の会見の場で、「内容をこれからよく精査したい」と今後の対応について言及した。

入管収容者への医療対応をめぐる国賠訴訟は、昨年1月のネパール人男性の例(大村入国管理センター)、同年6月の中国人男性の例(福岡出入国在留管理局)、今年3月のウィシュマさんの例(名古屋出入国在留管理局)など、各地で起こされている。

急がれるネット上のヘイト対策

地元メディアの報道によると、11日に現職の玉城デニー氏の再選が決まった沖縄知事選の期間中、インターネット上で沖縄や外国ルーツの人々に対するヘイトスピーチが量産された。ヘイト問題に取り組む市民グループ「沖縄カウンターズ」の調査を通じて確認されたのは「沖縄土人に選挙権は早かったね」「沖縄人、日本から出ていけ!」などの属性を理由に差別を扇動するヘイトスピーチ175件。その中には、「沖縄の土人達(たち)は在日が沢山(たくさん)いるようです」など、外国人差別を含むものもあり、これらは8月25日の告示後から投開票後に及ぶまで、散見されたという。

同グループの公式SNSでは、「出自、属性に向けての差別的言動、誹謗中傷、侮辱、脅迫はいかなる理由があってどのような場所でも許される事ではない」としたうえで、急増するネット上のヘイトスピーチについて、見かけた場合には通報するよう呼び掛けている。

沖縄県では、今年度中にヘイトスピーチ対策条例を制定する方針だが、ネット上のヘイトを含むヘイトスピーチ・ヘイトクライム全般への実効性のある対策が急がれる。

入管収容者死亡訴訟、国へ映像提出を勧告

昨年3月、名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)の収容施設で死亡したスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの遺族が、国に約1億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が14日、名古屋地裁で行われた。佐野信裁判長は、収容中の様子を写した映像を提出するよう国側に求めた。

同裁判で、国側は全面的に争う姿勢を示しており、原告に対し、請求を退けるよう主張している。

報道によると、14日の弁論では、国側が示した「収容は適法」「医療上の対応は違法ではない」との主張に対し、原告側が反論。ウィシュマさんが亡くなる直前に書いた「被収容者申出書」などの証拠を提出し、「文字が書けないほど体調が悪化していたにもかかわらず、適切な医療が行われなかった」と主張した。そのうえで、収容中の映像公開を求めた原告側の主張を受け、裁判所は、映像の一部を証拠として確認する必要があると、国側へ勧告。国側は「検討する」と回答した。次回の期日は12月12日を予定している。

(朝鮮新報)

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