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〈学美の世界67〉本質を捉える力強い表現/金潤実

時に良い作品とは、見る者の立場によって多様な見え方が許される。それは「どう見ても見る人の自由」というような放り出されることではなく、作品そのものが解釈の重層さを含み、鑑賞者にその門戸を開いているからこ…

〈西宮SEASIDE支部物語〉再起に向けた船出、そして今ここから/趙利寛

「西宮支部は終わった」― 人々は口々にそうつぶやいた。10 年前「アリランはんしん」(西宮支部が2004年に開設したデイサービス施設)の経営破綻と廃業は総聯兵庫・西宮支部に致命的な傷跡を残した。支部の…

〈読書エッセー〉晴講雨読・浅川巧を語る評伝と小説(上)/任正爀

植民地期に朝鮮に移住した日本人は何を考え、どのような日常を送ったのか。その大部分は支配する側として、朝鮮民衆に高圧的な態度で接したことだろう。そんななかでも朝鮮民衆に寄り添う人はいた。その典型的人物が…

金正恩時代の文学・芸術を分析/朝鮮文化研究会が第35回講演会

朝鮮文化研究会の第35回講演会が7月27日、東京都内で開催され、朝鮮大学校文学歴史学部の洪潤実助教が「金正恩時代の文学・芸術」と題して講演した(写真)。平壌に長期滞在し研究を行った経験がある洪助教は2…

〈ものがたりの中の女性たち82〉妓生三様―玉膚香、紫雲兒、妓生某の場合

あらすじ 玉膚香(オクプヒャン) ある少年が山寺で学問に励んでいると、科挙の準備で山寺を訪れていた若き日の権景(クォンギョン)裕(ユ)(後の燕山君代の文臣)、柳(リュウ)順丁(スンジョン)(後の中宗代…

追悼・金賢玉さん――同胞の生に寄り添った総聯活動家/朴金優綺

日本軍「慰安婦」として朝鮮半島から沖縄に連行され、戦後も沖縄で暮らした裴奉奇さんを晩年まで支え、その経験を後代に伝え続けてきた金賢玉さんが、7月14日までに他界した。享年81。賢玉さんと深く親交のあっ…

〈朝大専門家の深読み経済12〉戦略的経理担当者の役割(上)/廉貴成

2005年に発足した在日本朝鮮社会科学者協会(社協)朝鮮大学校支部・経済経営研究部会は、十数年にわたって定期的に研究会を開いています。本欄では、研究会メンバーが報告した内容を中心に、日本経済や世界経済…

〈時事エッセー・沈黙の声 50〉在朝被爆者支援無視を続ける岸田政権/浅野健一

松井市長の妨害排し原爆ドーム前集会 岸田文雄首相は14日の自民党総裁選への不出馬表明に先立つ6日、「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」に参列し、式典後に市内のホテルで開かれた被爆者7団体の代表か…

〈トンポの暮らしを支える/こちら同胞法律・生活センターです!49〉国際結婚夫婦の姓の選択

同胞法律・生活センターに寄せられる相談のなかには、同胞と日本人との「国際結婚」による夫婦からの姓に関わる相談も少なくありません。日本においては、現行の民法で夫婦同姓が義務付けられていますが、これに対し…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 69〉山代巴

被害の物語か、加害をきよめる文学か 〈ヒロシマ〉といえば/〈ああ ヒロシマ〉と/やさしくかえってくるためには/捨てた筈の武器を ほんとうに/捨てねばならない/異国の基地を撤去せねばならない(……)〈ヒ…

〈学美の世界66〉清々しく素朴な気持ち/李英心

毎年、在日朝鮮学生美術展(学美)の中央美術審査の場では数多くの作品と出会うことができる。各学年毎に一挙に並べられた各地のウリハッキョの児童・生徒たちの作品は、生命力あふれた力強い作品、心温まる作品、考…

〈読書エッセー〉晴講雨読・作家立原正秋と日本社会のタブー/任正爀

54歳の若さでこの世を去った立原正秋は、独自の美学を貫徹し苛烈に生きた作家として知られている。その代表作である小説『冬の旅』『春の鐘』は、その特質をよく表している。前者は血のつながりのない兄に暴力を振…

〈ものがたりの中の女性たち81〉「巫女にも本物と偽物がいます」ー巫女某

あらすじ 松(ソン)象(サン)仁(イン)は剛直で正直な男である。彼は巫俗人が迷信で人々を騙し、私腹を肥やしていると信じ、彼らを憎んでいる。先祖の霊や鬼神など見えるはずはないと、いつも巫女(ムニョ)や巫…

〈時事エッセー・沈黙の声 49〉先住民明記の施策推進法から5年、アイヌの今/浅野健一

半世紀、同胞にアイヌ復権訴え アイヌ民族を法律として初めて「先住民族」と明記した「アイヌ施策推進法」が施行されて5年が経過した。同法は付則で施行5年後の見直し検討が定められているが、国会ではほとんど議…

〈トンポの暮らしを支える/こちら同胞法律・生活センターです!48〉女性の離婚後再婚禁止期間、廃止の影響は?

今年の4月から日本の改正民法が施行され、女性が離婚した後100日間は再婚が禁止されるという規定が廃止されることになりました。 この禁止期間が設けられてきたのは、再婚後に子が生まれたとき、その子が前の夫…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 68〉田宮虎彦「朝鮮ダリヤ」

反省と責任をせまる回想物語 田宮虎彦の代表作「足摺岬」(1947)を最近再読し、あらためて力作だと感じた。戦前日本、孤独な知識人の暗く希望のない青春。足摺岬へと自殺行する主人公に、死を踏みとどまらせた…

〈学美の世界65〉山陰展の来場者の姿からみえるもの/三谷昇

今まで本連載に掲載されてきた内容は、各地の朝鮮学校で教育実践(指導)をされてきた先生の視点やその思いが中心であったと思う。私は鳥取県の小学校教員として図工科の指導をしてきたことと山陰地区(鳥取県・島根…

〈朝大専門家の深読み経済11〉現在の円相場をどう見るか(下)/卞栄成

2005年に発足した在日本朝鮮社会科学者協会(社協)朝鮮大学校支部・経済経営研究部会は、十数年にわたって定期的に研究会を開いています。本欄では、研究会メンバーが報告した内容を中心に、日本経済や世界経済…

〈読書エッセー〉晴講雨読・事実と誠実に向き合う安斎育郎『ウクライナ戦争論』/任正爀

前回、司馬遼太郎の小説について所感を述べたが、最後にマスコミ報道には自身の視点をしっかり持つべきと強調した。最近ではウクライナ情勢に関する報道がそうである。一方的にロシアを断罪する報道は正しいのか?日…

〈まるわかり! 法律で知る朝鮮11〉青年教養保障法に見る朝鮮社会の実情/李泰一

朝鮮の未来を法的に担保 ■はじめに 最高人民会議第14期第5回会議(2021年9月29日)において、青年教養保障法が制定された。本法は、社会主義全面発展期における今日において、重要な意義を持つ。なぜな…