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侮辱罪の厳罰化へ、改正刑法が成立

2022年06月16日 15:33 社会を知る~今週のnewsトピック~

日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。

コリア国際への放火犯逮捕

大阪府茨木市のコリア国際学園に侵入し放火したとして、大阪府警茨木署は8日、職業不詳の太刀川誠容疑者(29)を建造物損壊などの疑いで再逮捕した。太刀川容疑者は、辻元清美元衆院議員(立憲民主党)の事務所に侵入したとして逮捕され、窃盗未遂罪などで起訴されている。

容疑は今年4月5日午前、茨木市豊川のコリア国際学園の敷地内に侵入し、校舎内にあった段ボールに火をつけ、床などを焼損させた疑い。各紙報道によると、太刀川容疑者は「間違いありません」と自身の容疑を認めているという。

選挙活動と称したヘイトの防止を

各紙報道によると、神奈川県内の市民団体「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」と「反差別相模原市民ネットワーク」は10日、県と川崎市の選挙管理委員会に対し、選挙活動の場で繰り広げられるヘイトスピーチの防止に取り組むよう求めた。

提出された要請書では、差別団体「在特会」元会長の桜井誠氏が党首を務める排外主義政治団体「日本第一党」が、神奈川選挙区や比例代表での候補者擁立を表明したことに触れ、選挙活動と称して行われるヘイトスピーチの規制と監視を求めた。

一方、翌11日には、東京・銀座で、同団体の幹部であり参院選神奈川選挙区で立候補予定の萩山あゆみ氏がヘイトスピーチ街宣を行うなど、早急な対策が求められている。

訪日観光再開、約2年ぶり

日本政府は10日、新型コロナウイルス感染対策として停止していた訪日観光客の受け入れ手続きを2年2ヵ月ぶりに再開した。当面は、「感染リスクが低い」とする98の国・地域が対象で、添乗員付きのツアー客に限定される。各紙報道によると、本格的な受け入れ再開は6月下旬になる見通し。入国者の上限は2万人で、この中に観光客も含まれる。またワクチンの接種有無にかかわらず、入国時検査や自宅待機は免除される。

技能実習制度の廃止訴えデモ

NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)などは12日、東京・上野で外国人技能実習制度の廃止を求めるデモを実施した。デモでは「外国人労働者が、労働者として、人間として、安心して生活し、働ける社会」を求めて、約200人が声を上げ、街を練り歩いた。デモは、移住連などでつくる「外国人技能実習制度廃止!全国キャラバン実行委員会」が主催。報道によると、今夏の参院選を前に、現行制度を廃止し、外国人労働者を移民として受け入れる新制度の創設を訴えた。同実行委は、5月22日から今月13日までの23日間、日本各地で同様のデモを主催し行っていた。

侮辱罪の厳罰化へ、改正刑法が成立

侮辱罪に懲役刑を導入し、法定刑の上限を引き上げる改正刑法が13日、参院本会議で自公両党などの賛成多数で可決、成立した。今夏にも施行される見通しだ。今回の法改正への動きは、恋愛リアリティー番組に出演していたプロレスラーの木村花さん(当時22歳)が命を絶ったことがきっかけにある。木村さんは当時、執拗な誹謗中傷を受けていた。

「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」と刑法で最も軽い改定前の法定刑に対し、今回成立した改正法は「1年以下の懲役もしくは禁錮」と「30万円以下の罰金」を加えた。これに伴い公訴時効は1年から3年に延長された。

一方、侮辱罪の厳罰化をめぐっては、国会での審議過程で誹謗中傷対策を口実に、言論弾圧や社会への監視・統制が強化されるなどの強い懸念の声を受け、施行から3年後に検証を行うとする付則が追加された。

また改正法では、現行の懲役刑(刑務作業を伴う)と禁固刑(刑務作業の義務化なし)を一本化し、「拘禁刑」が新たに盛り込まれた。

AV救済法が成立、性搾取合法化の懸念解消されず

AV被害に特化した救済法「AV出演被害防止・救済法」が15日、参院本会議で可決、成立した。

「AV出演被害防止・救済法」は、出演者の心身や私生活に将来にわたり取り返しの付かない重大な被害が生じているとして、すべての出演者について、公表から1年間(施行後2年間に限り2年間)は無条件で契約解除が可能になる。それに伴い、制作公表の停止ができるようにした。罰則として、契約解除妨害のための不実告知および威迫行為などには3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金を科すことが盛り込まれた。また原則として、「事業者等が出演被害の重大性を自覚し、性をめぐる個人の尊厳が重んぜられるようすること」「撮影における性交強要の禁止」などが明記された。

一方、被害者支援団体などからは、今年4月の改正民法施行に伴う成人年齢の引き下げにより「若年層の被害増加」や、新法施行そのものが「性搾取の合法化につながる」といった強い懸念の声があがっている。

これと関連し、法案には、施行後2年以内に検討を加え、必要な見直しを行うとの附則が明記された。

ランドセルは必要?「さんぽセル」が呼んだ議論

栃木県日光市の小学生が中心となり開発した「さんぽセル」が議論の的になっている。

「さんぽセル」は、姿勢の悪化や背骨の変形など、重いランドセルを背負うことで起こる健康被害「ランドセル症候群」を解消しようという小学生たちの発想から生まれた製品。ランドセルに取り付け可能な、キャスター付きのスティックで、ワンタッチで伸縮可能な構造になっている。ランドセルを通常通り背負うことも、キャリーケースにように運ぶことも可能だ。

今年4月に発売された製品は、6月16日現在で購入が最長4ヵ月待ちとなるほど大好評だが、一方で製品発売のニュースに触れた大人たちから「楽をするな」などと1000件近い批判的な意見が寄せられたという。

当の小学生らは、これに対し、「より多くの友だちにさんぽセルを配ろう」と5月30日からクラウドファンディングを開始。「子ども時代に既得権や圧力に打ち勝った時代の『新しい芽』が育った未来。日本みんなで楽しみな未来を生きましょう」と呼びかけた。

ランドセルは年々高額になっており、今年は平均購入金額が5万6,425円にまであがったとの統計(ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2022年」)もある。

世界的にも稀だと指摘される「国全体で統一」された通学用かばん、ランドセル。再考のタイミングにあるのかもしれない。

(朝鮮新報)

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