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国会議員の差別発言、人権侵犯と認定

2023年09月27日 12:54 社会を知る~今週のnewsトピック~

日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。

国会議員の差別発言、人権侵犯と認定

自民党の杉田水脈衆院議員が、自身のブログで「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」などと、在日朝鮮人やアイヌ民族に対する差別発言を投稿していたことと関連し、札幌法務局が「人権侵犯」の事実があったと認定した。20日付で共同通信が報じた。

杉田議員の差別発言をめぐっては、同氏が総務政務官だった2022年11月、衆議院予算委員会の場で、立憲民主党・塩村文夏議員が、過去に杉田議員がSNSなどに投稿した差別発言について問いただしたのをきっかけに批判が相次ぎ、同年末、事実上の更迭に追い込まれた。

杉田議員は当時、問題の記述を撤回したものの差別とは認めず、現在まで当事者への謝罪もしていない。

札幌法務局の判断は、今年3月、アイヌ当事者である多原良子さんからの人権救済申し立てを受けてのもの。田原さんは、杉田議員の発言の的になった国連女性差別撤廃委員会(16年、ジュネーブ)に参加していた。報道によると、認定は7日付で、杉田議員に対し、今後発言に注意するよう「啓発」がなされた。

これと関連し、札幌市の秋元克広市長は、21日の定例会見で、「国籍、民族の違いを理由にした差別的な発言は決して許されない」と立場を表明した。

琉球遺骨返還、控訴棄却も異例の付言

1929年と33年に旧京都帝国大(京都大)の人類学者が沖縄の古墳「百按司(むむじゃな)墓」から遺骨を持ち出し、返還しないのは違法だとして、琉球王家の子孫に当たる沖縄県民らが遺骨の返還を求めた訴訟の控訴審判決が22日、大阪高裁であった。大島真一裁判長は、「原告は遺骨の返還請求権を有しない」として、原告の請求を退けた1審(22年4月21日)を支持し、控訴を棄却した。

遺骨が持ち出された「百按司墓」には1429年に琉球を統一した第一尚氏(しょうし)の貴族が祭られていたとされる。18年、その子孫らを名乗る原告らは京大総合博物館(京都市)に保管された26体分の遺骨返還を求め、京都地裁に提訴していた。

一方、大阪高裁は、判決の付言で、原告らを「沖縄地方の先住民族である琉球民族に属する」と認定。世界的な遺骨返還の潮流に言及したうえで、「遺骨は、単なるモノではない。持ち出された先住民の遺骨は、ふるさとに帰すべきである。日本人類学会から提出された『将来にわたり保存継承され研究に供されるべき』との要望書面に重きを置くことはできない」と指摘。京大と原告、沖縄県教委など関係者らに対話で解決するよう促した。

国連演説に失笑、揶揄の声

米・ニューヨークの国連本部で19日夜(日本時間20日午前)、岸田文雄首相が一般討論演説を行ったが、会場は空席が目立ち、識者からは「世界が失笑」しているなどと揶揄する声が上がった。

演説では「国家や国際社会が地球規模課題に取り組む過程で、個人の尊厳がないがしろにされてはならない」などとして、「人間の尊厳」を再三にわたり強調。その数は実に15回に上ったが、日本国内では、物価高や実質賃金の目減りなど人々の生活は厳しくなり、改正入管難民法など外国人に対する排他的な制度や、社会のヘイト風潮は野放し状態だ。

岸田首相は今回の演説で海外の研究機関やシンクタンクに核軍縮を議論する場をつくるために30億円を新たに拠出すると表明し、「分断や対立ではなく、協調に向けた世界を目指したい。これが私からのメッセージだ」と述べたが、日本国内にはびこる分断や対立の解消に取り組まない首相の言葉は空しく響いた。

(朝鮮新報)

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