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短編小説「労働一家」20/李北鳴

2022年11月05日 09:00 短編小説

それほどの暴れん坊ではあるが、金日成綜合大学までは必ずやってみせるという父親の念願は、つねに変わりはなかった。これでスドルは2学期の期末試験では優等を取るはずだった。

スドルは何気なく返事をしたが、父親の話を聞いていると、首がだんだんスッポンのようにひっこんできた。これから運動会やサッカーの試合があるというのに、心おきなく遊ぶことができないと思うと、いささか不安になってきた。

「遊びたい時はうんと遊ぶんだよ。その代わり、勉強する時は一生懸命やって優等生になればいいんじゃないか!」

息子の様子に気付いた鎮求は、幼い胸のうちを傷つけまいと頭を撫でながら、自分の願いが彼に通じるようにと秘かに思うのだった。遊ぶ時は心おきなく遊んでよいという父親の言葉に、息子はひっこめた首を勢いよく伸ばして「うん」と言ってはニタッと笑った。

妻は12日間、春の種播き用硫安肥料を運ぶための応援隊に参加することになった。彼女は最近終わったヌンリョン江改修工事に10日間行っていた。毎年梅雨時になると、必ず氾濫して工場をおびやかすこの河は、また妻の恨みがこもる河でもあった。彼女の故郷はヌンリョン平野の端にある宮南だった。戊寅年の夏だった。半月間続いた長雨は、農民たちの必死の努力もむなしく堤防をひき裂いてしまった。堤防工事に行った彼女の叔父は濁流にのまれてしまい、死体は4日後に内湖海で発見された。この洪水は生い繁る草木を根こそぎ流してしまい、農民たちを四方に離散させた。妻はその堤防の改修工事で、模範隊員として知られたのだった。祖国を建設する荘厳な現実は、学校に行けなかった妻をも知らぬ間に教育したし、その中で幸せな生活を求める展望を抱かせたのだった。

家庭三角競争を約束した鎮求は、夕方、家のあたりをぐるっと見回したあと、綿密な計画を立てた。

草をむしり、カボチャを盛り立て、下水溝をきれいにしようものなら、3日はかかりそうだ。次は荒地の開墾に一晩30坪ずつとして4日間、畝を起こし種を播くのに2日間…27日まではなんとかなりそうだ。その間、会議や委員会があるとしても、メーデーまでは悠々とやり遂げられそうだ。

(つづく)

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