短編小説「労働一家」22/李北鳴


「あの家は、家風がああなんだってよ」

鎮求の隣に住む「髭もじゃ」が、あたかも自分の家の自慢話のように鎮求夫婦のことやら、家庭三角競争の話まで得意になってしゃべった。

「ほう。おもしろい家風もあったもんじゃ、そうそう間違いねえ、わしの目に狂いがあるはずがねえ」

農民は「髭もじゃ」の話に相槌を打ちながら、自分の先見の明を自慢するのだった。仁順をはじめ模範隊員たちの作業成果は「速報」と「職場ニュース」によって即刻知れ渡ったし、有線放送を通じて放送されもした。鎮求は妻の働きぶりを壁新聞や拡声機から伝え聞くたびに、言いようのない満足感に浸るのだった。

「山のような肥料を見ていると嬉しくて、自然に元気が湧いてくるみたい」

妻の言うことに鎮求も全く同感だった。妻がこのように目覚めてきたのも、主に彼のかくれた努力のたまものだった。

昔の生活をふりかえってみると、あらゆるものが汚れていて雑然としていた。台所はうす暗く非衛生的で、部屋はちらかしっぱなし、壁は蝿の糞とゴキブリの血痕で見るに耐えられない有様だった。これでいいのだろうか? 家庭をもっと文化的にせねばならない。けれども昔からの生活習慣は、そうたやすく変わるものではなかった。だから職場の労働者たちは、自分の家庭を変えることより、鎮求の家庭の成行きに多くの関心をよせていたのだった。

鎮求は読書会と講演会の話や職場のホットニュースはもらさず妻にやさしく教えてやったし、それを今日まで根気よくつづけてきた。至誠天に通ずということわざのように、初めは馬耳東風だった妻も、夫の話にだんだん耳を傾けるようになった。

(つづく)

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