短編小説「労働一家」21/李北鳴


スドルは勉強のために一部屋を占めた。

試験が間近なせいか外で暴れる時間が少なくなったようだ。けれども外で仲間の影がちょっとでもちらつくと、もう勉強はどこへやら、さあっと駆け出して行って思う存分遊んでは、何くわぬ顔で帰ってくるのだった。

「あれまあ、泥だらけになって…スドル、遊んでばかりで、優等生になれなかったらおぼえてらっしゃいよ!」

母親は2回に1度はこう言って叱った。

「遊ぶ時は遊ぶんだ。その代わり、勉強するときは他のことを一切考えてはならんぞ!」

鎮求は息子に肩身の狭い思いをさせまいと、こう言い聞かせた。スドルの小さな胸は、必ず優等生にならねばならないと思うのだった。

金鎮求は計画を変えて先に肥しを貯えてから荒地を鋤き起こした。大体計画どおりことが運んだ。だが工事での仕事よりもはるかにしんどかった。夕食を済ませるやいなや寝床にもぐりこんだ。妻は毎日、硫安肥料出荷作業のため肥料工場へ出かけた。

彼の妻魏仁順は、肥料工場でも労力を惜しまなかった。

春の種播き肥料の出荷量は9万トンだ。どんなことがあっても種播きが始まる前に各農村に送らねばならない。一刻を争う問題だった。時期を遅らすまいとみな必死だった。肥料を満載した汽車がピーポーと汽笛を鳴らしながら工場に出入りした。労働者たちは、昼夜絶え間なく続く荷造りと出荷作業にもかかわらず、高い肥料の山を前にして、人手が足りずに嬉しい悲鳴をあげていた。「無報酬愛国声援隊運動」にふるいたった13万興南市民と各地の農民たちが、1日に数百人も志願して肥料工場に集まった。女性たちも男性に負けじと民主女性同盟の旗を掲げて集まった。その中に鎮求の妻仁順もいたのだった。肥料の山を見ただけでも心がなごみ満足だった。貧農の娘だった彼女は、1カマスでも多くの肥料を農民に送ろうと必死だった。彼女は毎日150カマスの出荷ノルマを200から380カマスも実行した。

「どこの御婦人だか知らんが、たいしたもんだよ!」

シャベルで肥料の山を崩していた中年の農民が、腰をのばしながら「髭もじゃ」につぶやいた。

(つづく)

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