短編小説「労働一家」8/李北鳴


達浩は両手を腰にやり、ぼんやりと工場の中を見回した。大小80台にのぼる各種の機械が一定の間隔を保ち、ある機械は立っているように、またある機械は寝ているように、それぞれいろいろな構えを見せながら配置されていた。しかし、それら機械の主人たちは、まだ建国室の内外で愉快な休憩時間を楽しんでいた。

子供を育む愛――まさにそのような心づかいが機械に通じて、どの機械も含みのある光沢を発散させていた。

機械!それは働き者の娘のようにいとしく、高貴な芸術品を創作する芸術家のようでもあった。

達浩自身は、自分がだれよりも機械を大切に扱うものと自負していた。彼は自分の生産ノルマを超過達成するために、30分の早朝出勤と残業などを行ない、自分なりに熱を入れているつもりであった。また、一に増産、二にも三にも増産である以上、増産のためには政治学習とか技術学習、そして余りにも多い会議には時々抜けるぐらい仕方のないことだと思っていた。

李達浩は最近、特に金鎮求との競争を始めてからというもの、世の中がどう変って行くのか皆目見当がつかなかった。またそれを知ろうともしなかった。そんなことは競争に勝った後から知っても遅くないものと考えていた。

彼は、毎日、生産目標を100パーセント以上達成しながらも、労働に対する新しい意欲と喜びを感じることができなかった。そればかりか機械に対する愛着心とか魅力を全く感じることができないこともあった。

それは、師走の大晦日に、借金取りに追われているような心境とでも言おうか?あるいは力いっぱい走っても、前の人を抜くことができないとでも言おうか?こんな錯雑とした感情が達浩をやるせなくさせた。このような心理状態には職場ばかりでなく、家庭でもたびたび陥った。

ちょうど一昨日の夕方、彼は妻の何でもないことに腹を立て、家庭の不和をもたらしたことがあった。この工業都市の市民がこぞって参加したヌンリョン江の改修工事に、妻も愛国突撃隊員として参加してきたことを知りながらも、食事の準備が遅いと言って怒鳴った。だが、妻はそれに腹を立てて彼に反撥した。

「大きなことばかり言わないでよ。私も一日中働いて来たのよ」

彼の妻は、慰労の言葉どころか、かえって怒られていることがくやしかったのだ。

「何を、お前が一体何をしてきたといばってるんだ…」

「あなたみたいにひねくれた人が、どこにいますか。あのスドルの家をごらんなさい。あれだけ夫婦が理解し合い、中むつまじいから、スドルのお母さんは働き者だとすごい評判じゃぁないの」

(つづく)

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