短編小説「労働一家」10/李北鳴


あっと、彼はすばやく機械を止めたが遅かった。2回に分けて削らなければならないところを1回で済まそうとした達浩の無謀なやり方が、貴重なバイトを折ってしまったばかりでなく、製品にまで傷を残した。

ちぇっ!この野郎、狂ったのか――達浩は舌打ちしながら自分を責めた。自己嫌悪がこみ上げてきた。

彼は握っていたスパナを床に叩きつけ、続けざまに舌を鳴らしながら鉄板の上に崩れるように座り込んだ。解放前にはなかった増産運動るるものが自分を苦しめるのかと思うと、手の力が抜けて万事が煩わしくてならなかった。彼はしばらく、腐った豆腐でも噛んだような表情で座っていたが、何を思ったか急に立ち上がると、ちらっと建国室の方へ視線をやって鎮求の旋盤に近寄った。彼は注意深く鎮求が切削中であった製品を眺めた。指先であっちこっちといじくり回してみたが、別段出来栄えがよいわけでもない――自分よりも4時間は遅れていることは確かだ。達浩はほっとした。

だがその時、彼の心にふっと不満が頭をもたげた。

テクニカルな能率面をとっても仕事に対する熱意にしても、鎮求に上座を譲らねばならない理由はどこにも見当たらないのだ。それなのに幹部や仲間たちは、何を基準に決めつけて鎮求を引き立てるのだろうか?どうしても納得がいかなかった。こうも人を見る目がないのだろうか?自分たちで適当にうまくやりながら、やれ「長」だの、なんだのと決めることは、どうしても腹にすえかねた。達浩はすべてをこう理解していた。

そのとばっちりが、何の罪もない鎮求に向けられていたのだ。達浩が鎮求より至らないのは、歳が2つ下なのと技術を1年後に習ったことだけだった。他を比べても、体力や才能だって鎮求よりは自分が上だと思った。彼は夜学を3年間通ったが、自分は小学校を卒業しているのだ。何を基準に人間の軽量を問うのだろうか?後輩が先輩を超えてはならない法律があるわけでもないし、とうていそれは理解し得るものではなかった。

だれが俺の気持を察してくれるというのだ――彼は腹の底を割って話し合える友人が欲しかった。自分の立場を理解してくれる酒呑み友だちができたのはせめてもの慰めだったが、それが過ぎたのか自分の首を真綿で締める結果になってしまった。

(つづく)

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