短編小説「労働一家」23/李北鳴


夫の話はみな耳新しかった。2人の愛情はさらに深まり、家の中もだんだん明るくきれいになっていった。

「台所がきれいだと、食べ物までがうまくなったみたいだよ」

「ウフッ、もうくせになったみたいよ。ひと月1回だった雑巾がけが2、3回になったのを見ると、ひと月大昔だった言うけど、ほんとうね」

「迷信とビンのふたのことはもう忘れたかね?…。ワッハッハッ」

「またそんなこと…」

鎮求は時々こんなことを言ってはからかった。家をあんまりきれいにすると、福の神が逃げてしまうとか、ビンのふたをするのを嫌った彼女に、

「おい、そのふただけはきちっと締めろよ。味が逃げるわけじゃないが、ホコリがどんなにたまるか知れたもんじゃない」と言い聞かせるのだった。

妻の悪い癖を直すのに延々1年はかかった。時には口げんかもした。鎮求は新聞紙で壁をきれいに貼り、金日成将軍の肖像を描いた絵を買って飾り、本棚には本を買い集めて並べ、新聞もちゃんと綴じておいた。

鎮求は「労働新聞」を立派な百科事典のように大事に扱った。いつだったかスドルが新聞紙の隅っこを破って遊んだのを、あわててもとどおりに貼り合わせておいたほどだった。

彼はよく働く妻がいっそう可愛くいとおしかった。妻の愛国心に負けてはなるまいと思うと、増産意欲をかきたてられた。してみると、妻は愛する人でもあるり、片や競争相手でもあった。

仁順のあまりの働きぶりは、ある時はかえって近所の心ない人たちのうわさの種にもなった。

(つづく)

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