〈群馬追悼碑裁判〉市民団体の逆転敗訴が確定/最高裁【詳報】


政府忖度の判決、司法の危機

「記憶 反省 そして友好」の追悼碑

県立公園「群馬の森」にある朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑について、県が設置許可を更新しないのは違法だとして、「記憶・反省そして友好」の追悼碑を守る会(以下、「守る会」)が処分の取り消しなどを求めた民事訴訟で、県による碑の更新不許可処分を違法とした1審・前橋地裁判決を取り消し、市民団体側の請求を全面棄却した2審・東京高裁判決が確定した。

最高裁第二小法廷(岡村和美裁判長)は、6月15日付の決定で、最高裁への上告が許されるのは民訴法312条1項(憲法違反)または2項(法律に定められた訴訟手続に関する重大違反)所定の場合に限られるとしたうえで、本件上告理由が312条の「各項に規定する事由に該当しない」として、上告を棄却した。

原告側弁護団事務局長の下山順弁護士は、「憲法上公園において表現活動は本来尊重されるべきであるのに、表現活動を行う追悼碑の価値を認められなかったのは、率直に残念だ」だとコメントした。また「碑の中立性を否定した東京高裁判決を維持したという点で、極めて問題がある」と最高裁決定における問題点についても指摘。

「強制連行という表現は歴史学上の通説的な表現であるにもかかわらず、判決の数ヵ月前にこうした表現を教科書から排除すべきとした閣議決定があったこと、強制連行という表現について政府見解に反すると表現していることなどからすると、東京高裁判決は、政府に忖度して、強制連行という表現から碑の中立性を否定したものといわざるを得ない。三権分立からも非常に問題があるうえ、政府見解に反するから中立性を害するという判断自体、政治的に偏向したものであり、そもそも法的な判断といえるのか疑問だ」としたうえで、今回の決定が「裁判官の単なる政治的評価というべきもの」だと非難した。さらに同氏は、「最高裁が政府に忖度する判決を維持したとなれば、司法の危機と言わざるを得ない」と指弾した。

これと関連し、今日午後、守る会など関係者らによる抗議集会が都内で開かれる予定だ。

(韓賢珠)

【関連年表】

  • 2004年3月:協議の末、群馬県が「群馬の森」への追悼碑設置を許可(14年1月までを期限とする)。翌05年から年に1回、碑前で追悼式が開かれる。
  • 2012年5月~:碑の撤去を求め、排外主義団体が街宣活動。碑は「自虐史観」だとして、県に対し抗議電話やメールが相次ぐ。
  • 2013年12月:設置期間の更新期限を前に、「守る会」が更新申請。
  • 2014年6月:設置許可の取り消しを求める請願を県議会が賛成多数で採択
  • 2014年7月:県が碑の設置期間更新を不許可に
  • 2014年11月:「守る会」が県を相手取り提訴
  • 2015年2月:前橋地裁で第1回口頭弁論
  • 2018年2月:1審・前橋地裁は、県の裁量権逸脱を認め違法と判断。不許可処分の取り消しを命じる。県が控訴→一部棄却された内容を不当とし、「守る会」も付帯控訴。
  • 2018年9月:東京高裁で控訴審第1回口頭弁論
  • 2021年8月26日:2審・東京高裁は、県側の主張を認め、一審判決を取り消す。「守る会」の請求を全面棄却。
  • 2021年9月6日:2審判決を不服として、「守る会」側が最高裁へ上告
  • 2022年6月15日:最高裁が上告棄却、判決確定

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