〈群馬追悼碑裁判〉1審から後退“碑の価値問われず”/市民団体が2審で敗訴【詳報】


県立公園「群馬の森」にある朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑について、県が設置許可を更新しないのは違法だとして、「記憶・反省そして友好」の追悼碑を守る会(以下、「守る会」)が処分の取り消しなどを求めた民事訴訟。26日の控訴審判決で、東京高裁の髙橋譲裁判長は、県による不許可処分を違法と判断した一審判決とは打って変わり、「処分は適法」だとして「守る会」の請求をすべて棄却した。

県立公園「群馬の森」にある朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑

2014年に始まった同裁判。1審では、追悼集会が碑の設置許可条件に違反する「政治的行事」なのか、県が不許可処分の理由とした碑そのものの存在価値の有無(碑は都市公園の効用を全うする機能を喪失したのか)についてなど、5つの争点があった(【表①】参照)。

【表①】5つの争点

  • (1)県が定めた碑の設置許可条件が合憲か否か
  • (2)追悼集会が碑の設置許可条件に違反する「政治的行事」なのか
  • (3)碑の設置許可期間を更新しない県の行為は裁量権の逸脱か否か
  • (4)碑は都市公園の効用を全うする機能を喪失したのか
  • (5)県による碑の設置許可期間に関する更新不許可処分は適法か否か

これに対し、1審・前橋地裁は、2018年2月13日の判決(【表②】参照)で、県が定めた許可条件の合理性を認めた(1)ほか、参列者の発言に「強制連行」という文言が使用されたことから、追悼集会を「政治的行事」と認定(2)。また県が設置許可を更新しないのは裁量権の逸脱にあたらない(3)と判断した。一方で、碑が都市公園の効用を全うする機能を喪失していたとはいえず(4)、よって県の更新不許可処分は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くとして、裁量権を逸脱した違法(5)だと結論づけた。

【表②】1審判決

  • (1)許可条件は不明確とはいえず、碑が政治または宗教上の目的に利用された場合には、紛争の原因となるため、条件として合理性が認められる(合憲)。
  • (2)「強制連行」という文言はその発言に含まれる歴史認識に関し主義主張を推進する効果を持つ「政治的発言」であるため集会の政治性は否定できない。(「政治的行事」と認定)
  • (3)設置許可期間を更新しないことは、裁量権の逸脱・濫用とはいえない。
  • (4)「政治的行事」があったものの、県が当初何の対応もせず、またこれによる公園利用者への影響も確認できないため、都市公園の機能は喪失していない。
  • (4)県の不許可処分は社会通念に照らし著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱する違法。

その後、県側は1審判決(【表②】)の(4)(5)について、また「守る会」側も(1)(2)(3)について不服とし双方が控訴する流れに。2018年9月から始まった控訴審では、県側が「『守る会』の許可条件違反により、碑は公園の効用を全うする機能を喪失し、法が定める『公園施設』に該当しなくなった」と1審判決に異を唱えたうえで、新たに2つの主張(①許可条件違反による「守る会」の管理能力喪失、②碑の設置許可条件を満たしても不許可にできる裁量を持つ)を追加。一方で2019年からは裁判所の指示で4回の和解協議が持たれたが、碑の撤去を前提とする県との溝はうまらず決裂した。

同裁判は、第5回口頭弁論(20年9月10日)以降、2度の裁判長交代を経て第6回口頭弁論(21年3月9日)をもって結審。26日の2審判決を迎えた。

司法が行政に追随

判決後の集会で参加者たちは、最後まで闘い抜こうとシュプレヒコールをあげた。

この日の判決で2審・東京高裁は、5つの争点中、(1)(2)(3)については1審判決を踏襲するも「当事者間において『政治的行事』の定義が不明確」だとする「守る会」側の主張に対して判断を避けた。

また争点(4)(5)については、「守る会」の許可条件違反が理由で「碑が公園としての効用を喪失し、よって県の不許可処分は適法」だと結論づけた。

とりわけ争点(4)について、髙橋譲裁判長は「碑が宗教的・政治的に中立な存在であることや都市公園内にある教養施設としての効用を全うすることを確保する必要がある」にも関わらず「政治的争点(歴史認識)に係る一方の主義主張と密接に関係する存在とみられるようになり、中立的な性格を失った結果、公園施設として存立するうえでの前提を失い、設置の効用(日韓、日朝の相互の理解と信頼を深め、友好を促進するために有意義であり、歴史と文化を基調とする公園にふさわしいもの)も損なわれた」と判断。

一方で当初、県が「政治的行事」を確認しながら何の対応もしなかったことを1審同様に認めながらも、それが「許可条件違反を放置したり、軽く受け止めていたことを示すものとはいえない」と述べた。そのうえで「碑が政治的な対立をもたらす潜在的危険性を有するものであることからすれば、更新不許可処分に、裁量権の逸脱・濫用があるとはいえない」と、県側の行為に違法性はないとした。また、控訴審で県が新たに提起した2つの主張については、「守る会」の許可条件違反および碑が政治的な紛争の原因となったことを考慮するとして、いずれも県の主張を認めた。

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