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短編小説「海州―下聖からの手紙」33/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

2022年09月04日 09:00 短編小説

兄さん、これが手紙の全部です。

数日後、私たちは自分たちの手で敷いた線路を走って平壌に行きます。金策工業大学通信学部入学の推薦を受けたんです。私たちは運輸工学部だそうです。

それから休暇を家で過ごし、ふたたびコムサン―スソン間鉄道工事現場に行くつもりです。私たちは鉄道建設に一生を捧げる約束をしたのです。

竣工式の日の夜、チルソントンムは私たちの今後の計画を次のように提案しました。

第1期、海州―下聖、コムサン―スソンなど、鉄道建設時代。

第2期、鉄道電化時代。

第3期、鉄道自動化時代。

かれの話では、そのときには平壌指令室に何人かの技術師がいるだけで、それが従業員の全部だということです。

その次は言うまでもなく共産主義時代です。まったく変わったトンムなんです。この計画がすなわち歴史の時代区分だと言うんです。でも私も賛成しました。

兄さん、これでペンを置きます。

兄さんが私たちをよく理解してくれるものと信じて疑いません。でもお母さんとお父さんは?……、いいえ、お母さんもお父さんもこの手紙を見ればきっとわかってくれると思います。それにお兄さんからうまく話してくれるだろうと、私、信じてます。

それでは兄さん、くれぐれも体に気をつけてください。さようなら……。

「海州―下聖」にて

妹ミョンヒ

妹の手紙は終わった。

二人は昨年、「チハリ・ピョンサン」一段階工事で功をたてて今、東海岸ミョンチョン―タンチョン間の電気鉄道工事に参加している。いうなれば二人は計画の第2期に入ったことになる。

だが二人はまだ各自の宿舎に住んでいる。この頑固者同士は通信大学卒業証と技師の資格証を取った後にはじめて、その問題について取り組むことにしたそうである。なにはともあれ私は、二人が遠く真っ赤に燃える共産主義の地平線まで大鷲のように力強く羽ばたいていくであろうと、皆さんとともに信じてやまないのである。

―1960年1月―

(おわり)

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