短編小説「海州―下聖からの手紙」17/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳


ところが不意にかれは口をつむると掘り起こした地面をじっと見つめるのです。そしてひざを折ると両手で土をひとすくいしました。

「ミョンヒトンム、いったいこれはどんな土だろう!……」

かれの声は興奮でふるえていました。

「……」

「祖国解放戦争当時、僕が属した大隊はこの梅花山で戦ったことがあるんだ……」

「え、ここで?」

瞬間、いつかかれが清津に電話をかけたときのことをふと思い出しました。

「そうなんだ。実は建築設計に詳しい小隊長トンムが、この泡沸石土の秘密を教えてくれたんだよ……」

「そうだったの!」

「この前、電話をかけた党委員長は、そのときうちの中隊長だったんだ……」

かれはなにかもっと言いたげでした。でもなぜか手の土を桶に盛ると、むっくり立ち上がりこぶしを振りかざしました。そして「うまくいくと思う。いやどんなことがあっても成功させるんだ!」と自分に言いきかせるように低く叫びました。

ゆるやかに曲がりくねった川岸にそって、無数の灯火が星の群れのように光っていました。

私、もっとなにか聞きたかったんですがやめました。

下山した私たちはまず、泡沸石土をやわらかくし、少量のセメントと土を混ぜてじっくりこねました。そしてチルソントンムが前もって準備しておいた枠に斑竹を入れて、頑丈なブロックの模型をいくつか作りました。自然に固まるのを待つと3,4日はかかるので、蒸気を使うことにしたんですが、さて、かれがどんな方法を思いついたかわかるでしょうか。炊事場の巨大な釜のなかに、せいろうのように木枝をうまくかけてのせ、その上にブロックを置いて蒸すというやり方です。

いろいろな割合で混合したブロック十数個を夜通し蒸しました。

夜明けに炊事員たちが来たんですが、土まみれの私たちと湯気の立った釜を見比べ、さも不思議そうでした。ところが釜をのぞいてはみな悲鳴をあげてびっくりしたのでした。

蒸し終わったのは空も白み始めた頃でした。チルソントンムは、庭にブロックを並べるとそのなかの一つを高く持ち上げ力一杯に地面にたたきつけました。

(つづく)

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