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〈青商会、挑戦と継承の足跡〉Ep.12 グレードアップへの道筋(2)

2023年07月03日 10:30 在日同胞

青商会史上初の「地域会長・幹事長会議」(16年11月5日、朝大)には、地方・地域青商会の会長、幹事長ら約130人が参加した。

繋がりが相乗効果生む

「グレードアップ」のスローガンを掲げた中央青商会1920期の期間には、中央役員たちが各地の青商会を積極的に訪ねて回り、役員たちの声に耳を傾けた。その過程で中央青商会は、地方・地域役員たちの思い、モデル地域の活動内容を共有することで青商会全体のレベル向上を図ろうと考えた。こうして16115日、青商会の歴史上初となる地域会長・幹事長会議が朝鮮大学校で行われた。会議には、地方・地域青商会の会長、幹事長ら約130人が参加した。 (過去の連載記事はこちらから▶︎青商会、挑戦と継承の足跡

モデル活動から刺激を

各地の役員たちははじめに、青商会OBたちとの座談会に参加した。

各地の役員たちは、青商会OBたちとの座談会に真剣な眼差しで参加していた

座談会に出演したのは、総聯支部や教育会での活動に励む大阪、埼玉、神奈川の青商会OBたち。そのうちの一人、大阪・東成地域青商会会長を務めた李昶林さん(現在、総聯大阪・東成支部副委員長、中大阪地域商工会副会長、54)は当時の会議のことを今でも覚えている。

「参加者たちは真剣な眼差しで、座談会での話を食い入るように聞いていた。OBたちの話と地元の実情を照らし合わせながら、自分たちに何ができるかを模索しているようだった。現役役員たちからはいくつかの質問を受けたが、それくらいみんなが本気で地域活動に励んでいたのだと思う」(李昶林さん)

地元の活動に活かせるヒントを一つでも得ようと会議に参加していた青商会役員たち。そんなかれらは、つづいて行われた地域役員らの経験討論にも大きな関心を持っていた。

中央青商会の李泰一幹事長(現在、朝大政治経済学部長)によると、19期に入り各地で行われたブロック別研修会では「どうしたら最優秀KYC賞を獲得した地域のように活動できるのか」「他地域の経験を聞かせてくれ」という声が少なくなかったという。14期の「EXキャンペーン」からKYC 賞を表彰する青商会運動が活気を帯びる中、KYC 賞獲得競争に励むことで組織強化を目指す地域役員、他地域から積極的に学ぼうとする地域役員たちが徐々に増えていたのだ。

地域会長・幹事長会議では、同年9月の青商会第20回定期総会で最優秀地域KYC賞を授賞した兵庫・東神戸灘地域青商会の趙源模会長(現在、神戸初中教育会会長、50)の経験討論に耳目が集まった。

青商会第20期総会で最優秀地域KYC賞を授賞した兵庫・東神戸灘地域青商会の趙源模会長の経験討論

趙源模会長は討論で、東神戸灘地域青商会が滋賀県青商会の伝統的な活動である「カジュッタ」(フルーツの果肉だけを搾りとるジューサー)を用いた財政事業を参考にし、同胞行事や日本の祭りでジュースを販売、その収益を元手にしてICT教育機材のiPad20台を神戸初中に寄贈したことを紹介。また、会員やその家族らの親睦を深めるイベントなどを通じて同校の児童・生徒募集活動に貢献する一方、会員の実利を重視する中で2倍以上に増えた会員たちが部署毎にアイデアを出しながらさまざまな試みにチャレンジしていると語った。

参加者たちは、最優秀KYC賞を獲得した単位の活動レベルの高さに感服した。そして民族教育、経済生活サポート事業などに関する経験討論からも学びを得て、「地元に戻って活動アイデアを実践に移してみたい」と口々に語った。

参加者たちはその日の夜の懇親会で、各地の地方・地域青商会が切磋琢磨していくことを決意。最後に「朝鮮青年行進曲」を大合唱し、高揚感に浸りながらそれぞれのホテルへと帰っていった。しかし、「学びの場」はこの日の会議だけでは終わらなかった。

各地の同志たちと共に

翌日、朝大では「総聯分会代表者大会2016」(新全盛期2回大会)が開催された。朝大は各地の総聯および女性同盟分会の代表らを含め1000余人の熱気で包まれた。参加者の中には、オブザーバーとして大会に参加した各地の青商会役員たちの姿もあった。

朝鮮大学校で開催された「総聯分会代表者大会2016」(新全盛期2回大会)

かれらは同胞社会の活性化のために身を粉にして活動する分会代表たちの討論を聞きながら、改めて考えた。同胞社会の未来のために、何をしなくてはいけないのか

各地の役員たちは、地域会長・幹事長会議、分会代表者大会で得た自らへの問いを胸にしまい、地元での活動によりいっそう力を注いだ。

各地で活動に励んだ役員らは、翌年4月、金日成主席生誕105周年に際し青商会代表団として祖国を訪問した。54人の訪問団メンバーたちは、金正恩総書記の参席の下で行われた閲兵式および平壌市民パレードなどを通じて一心団結して前進する祖国の現実を肌で実感。一方で、同胞社会や民族教育の未来について熱く語り合い、それぞれの地域で柱となっていくことを約束した。

金日成主席生誕105周年に際し祖国を訪問した青商会代表団(写真は科学技術殿堂で)

20期も終盤を迎えた頃、青商会運動の数字にある変化が表れていた。地域役員たち一人ひとりの意識の高まりが他の会員たちへと伝播していく中で、会費を納める会員の数が徐々に増えていったのだ。その数は、中央青商会第21回定期総会(20177月)までに青商会史上最多となる3,052人へと膨れ上がっていった。

一方、数字では表しきれない変化も生まれていた。青商会11期から20期まで約10年間にわたり中央青商会の専従活動家を務めた金永勲副幹事長(現在、総聯千葉支部委員長)が言うように、「20期には、青商会を卒業した地域役員たちが支部や分会、商工会、教育会に活動の場を移すことが当たり前のようになっていた」。このような傾向は、各地の役員らの心が繋がることで得られた相乗効果だと言えるかもしれない。

日本学校出身ながら8年間にわたり秋田県青商会会長を務めた中央青商会の金容一副会長は、第21回総会での討論で「青商会活動を通じて人生の同志たちと出会うことができた」と語った。そして総会参加者たちを前にしながら「青商会での経験を忘れず、ブレることなく次のステージで頑張っていきたい」と誓った。

在日本朝鮮青年商工会第21回定期総会

それから5年後の昨年夏、金容一さんは48歳にして秋田県商工会の会長を務めることになった。

「今でも青商会時代の仲間とは繋がっているし、みんなの存在が刺激になっている。たとえ小さい地域だとしても、仲間たちと同じ熱量を持ちながら活動し続けるつもりだ」(金容一さん)。

各地の同志たちがいるから、次のステージでも頑張れる。その思いを抱きながら、青商会OBたちは現在もそれぞれの地域同胞社会で重要な役割を担っている。

(つづく、李永徳)

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