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〈青商会、挑戦と継承の足跡〉Ep.10 1万人ネットワークの構築(2)

2023年06月05日 12:54 在日同胞

未来を担う数千、数万の「鍵」

1万人ネットワークを構築した青商会は、結成20周年記念を冠した様々なイベントを通して、同胞社会の明るい未来図と無限の可能性を示した。

同胞による同胞のための公演

結成20周年を迎えた青商会は記念式典(2015年9月5日)に続いて、記念巡回公演「ウリ民族ツアーステージ~世代を継いで~」(9月6日~10月3日)、在日本朝鮮少年団クイズ大会(10月24日、朝青と共催)、「ウリ経済フォーラム2015」(11月15日)を企画しすべてのイベントを成功させた。

結成20周年を迎える2015年の4月、青商会代表団51人が祖国を訪問した。写真は女子サッカー国家代表選手らとの交流会で

これに先立ち、日本各地の青商会メンバー51人からなる代表団が4月20~25日の日程で、朝鮮を訪れている。

代表団は滞在期間中に、平壌の各所や世界文化遺産のある古都・開城、軍事境界線上にある板門店で祖国の「今日」を見て回った。また、女子サッカー、重量挙げ、体操の国家代表選手や監督、さらには万景台学生少年宮殿のサークル員たちとの交流会も行った。世界が注目する朝鮮の経済開発区に関する説明会もあった一方、平壌市郊外のゴルフ場で「第3回中央青商会ゴルフ大会in平壌」を開催した。

祖国訪問は、青商会の原点を再確認し、結成20周年事業を成功させるための重要なステップアップだった。

青商会では20周年記念行事のアイデアを募った。その過程では朝鮮の子どもたちを日本に招待し巡回公演を披露するなどの提案もあったが、これは複雑な政治情勢から断念を余儀なくされた。

そこで巡回公演という発想はそのままに、出演者はもちろん、脚本から演出、挿入歌まですべてオリジナルの、同胞による同胞のための巡回記念公演を作り上げた。

「未来で待っている」

青商会結成20周年記念巡回公演「ウリ民族ツアーステージ~世代を継いで~」でフィナーレを飾った青商会メンバーによる合唱(開幕公演で)

青商会結成20周年記念ウリ民族ツアーステージが9月6日、東京・昭島のKOTORIホールで開幕初日を迎えた。「ドキュメンタリー&ミュージカル」という新たな試みのツアー公演のタイトルは「세대를 이어(世代を継いで)〜未来への扉〜」だ。公演時間は2時間10分の大作だ。

開幕公演を、日本各地の同胞たち約800人が観覧した。

物語の始まりは2045年。朝鮮学校に通う主人公のミレは、先生から民族教育の歴史を整理する作業を任せられる。恵まれた時代に生き、歴史に無頓着なミレが、30年前の世界にタイムスリップしてしまうことで物語は動き出す。

ミレにとっての「過去」、観客たちにとって「現在」の2015年。そこでミレが見たものは、朝鮮学校の教員をしていた若かりし頃のハルモニと、閉校の危機にさらされた朝鮮学校の姿だった。

未来へ帰るための鍵を探しに出かける物語は、歌と映像に合わせて進行する。

映像には、1948年の教育闘争をはじめ、民族教育を守り抜いてきた1世、2世同胞たちの証言が収められている。

過去や未来を表現した舞踊に、サムルノリも舞台を飾る。

未来への鍵を見つけたミレは「未来で待っている」と最後に呼び掛ける。今日を生きる同胞たちの献身が未来を作り出すという真理を映し出す。

巡回公演の会場は連日多くの同胞でにぎわった(近畿ブロック)

青商会結成20周年記念事業実行委員会の金太竜委員長(第18期中央青商会会長)は語る。

「先代たちの思いが込められた愛族愛国のバトンを、いま私たちが受け継がなくてはいけない。青商会は、明るい未来を開く『鍵』になる。数千、数万の『鍵』になり、同胞社会の未来を守っていく」

もうひとつの「1万人ネットワーク」

「民族教育の素晴らしさを感じることができる公演」「この公演を企画し、成功させた青商会が本当に頼もしい」「在日同胞社会の未来を担っていく存在だ」「若い世代が明るい未来を築いていかなくてはならない」「未来に対する不安を抱いていた自分が恥ずかしくなった」と公演を観覧した同胞たちは賛辞を惜しまなかった。

ツアー公演は、東京を皮切りに約1カ月をかけ日本の各地で10回上演された。

観客動員数は約1万人だった。

結成20周年の節目に青商会は1万人ネットワークを構築したのだが、ツアー公演を通して奇しくももうひとつの「1万人ネットワーク」を広げたのだった。

青商会の結成から変わらぬスローガンである「広げよう青商会ネットワーク!」は、こうして青商会の枠を超え、同胞社会に波及していった。

明るい未来を開くための先代の意志を継いだ数千、数万の「鍵」が同胞社会にあること。それはあらゆる困難を乗り越えるための希望と勇気の象徴となった。

(つづく、鄭尚丘)

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