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短編小説「海州―下聖からの手紙」25/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

私はパクトンムにもう一つの受話器をあげました。 「はい、だれですか? ああ、チルソントンムですか。ええ来ましたよ……」 これを聞くと、胸に張りつめた何かが急にぷつんと音をたてて切れるようでした。 「え…

短編小説「海州―下聖からの手紙」24/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

パクトンムは返事もせずに、 「ちょっと連隊指揮部に電話をかけてくれないか」と言うんです。 「え、電話? なにかあったの?」 「多分そこに行ったと思うんだ、確かめてみよう。安心して……」 「連隊指揮部で…

短編小説「海州―下聖からの手紙」23/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

「チルソントンム、遠慮することないわ。トンムはすでにりっぱな働きをしたんだし……、後のことはみんなに任せて……、それに連隊指揮部でも心おきなく行くよう言ったそうじゃないの……」 「な、なんだって!………

短編小説「海州―下聖からの手紙」22/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

そのうえ、この調子では工事が10日ないし半月は送れるというのでした。それでチルソントンムたちはこの数日、寝食を忘れあれこれ合理化と機械化案を考えたものの、これといった方法がないと言うのです。そう言われ…

短編小説「海州―下聖からの手紙」21/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

とりとめのない考えが私の心を乱しました。 兄さん、かれが職場から大学に推薦されながら、それを放棄したことは書きましたよね? ところがその頃かれはふたたび進学推薦を受けたのです。工事の竣工予定が、来年の…

短編小説「海州―下聖からの手紙」20/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

省から来た「肝っ玉の小さい技師」(これもパクトンムの表現なんです)は、私たちが夢を見過ぎると言いました。そうです、党の息子と娘である私たちは確かに空想家ぞろいです。どんな空想家たちも夢みたことのないと…

短編小説「海州―下聖からの手紙」19/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

そして、素晴らしいことに、そのパクトンムが考案し、チルソントンムとともに苦心した結果、橋脚を組立式に建造するのに成功したんです。おかげで、問題児―邑川橋は7月末どころか、7月5日に完成したのです。 第…

短編小説「海州―下聖からの手紙」18/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

「ト、トンム、気でも狂ったの!」 ドーンという音とともに私の胸もつぶれるようで、私、反射的に目をつむると叫びました。 「強度試験だよ」 おっとり答えると、もう一つかれはグワーンとたたきつけました。 驚…

短編小説「海州―下聖からの手紙」17/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

ところが不意にかれは口をつむると掘り起こした地面をじっと見つめるのです。そしてひざを折ると両手で土をひとすくいしました。 「ミョンヒトンム、いったいこれはどんな土だろう!……」 かれの声は興奮でふるえ…

短編小説「海州―下聖からの手紙」16/キム・ビョンフン作、カン・ホイル訳

私はもうすっかりやる気をなくしました。かといって、このまま降りるわけにもいかず、急いで二つの桶をいっぱいにしました。 それから桶を背負ってかれに「入れてちょうだい」と冷たく言いました。するとかれは、盛…