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〈Around Korea 立体的情勢分析〉日本、東アジアが抱える構造的矛盾/伊勢崎賢治氏

2024年06月27日 13:52 対外・国際

 

 

 

朝鮮半島関係諸国とその相互関係をめぐる政治・経済・軍事・科学など多岐にわたる分野の今を考察することで、朝鮮半島を取り巻く国際情勢を側面から立体的に描き出す専門家インタビュー。米中ロ日とその関係国をメインターゲットに、朝鮮半島を相対化してこそ見えてくる本質に迫る。不定期連載。

冷戦の遺物、朝鮮国連軍の再活性化

中国、朝鮮の「脅威」を口実にアジア太平洋地域において米国を主軸とした軍事同盟が強化される中、朝鮮国連軍をめぐる動きが顕在化している。国際NGOや国連でアジア・アフリカの紛争解決・武装解除に取り組んだ経験を持つ伊勢崎賢治氏に聞いた。(聞き手・金淑美)

伊勢崎賢治(いせざき・けんじ)1957年東京都生。東京外国語大学名誉教授。国連PKOの幹部として東ティモール、シエラレオネで紛争解決・武装解除を担当。2003〜04年までアフガニスタンで武装解除を担当する日本政府特別代表。 著書に『武装解除紛争屋が見た世界』(講談社現代新書、04年)など多数。

−米国の覇権的なインド太平洋戦略により東アジアにブロック対立が持ち込まれている。

アジア太平洋地域における米国の軍事ネットワークによる中国包囲網形成の動きやウクライナ戦争などの世界情勢は、アフガニスタン戦争からすべて連続している。米国、NATOがタリバン政権に負けたのが2022年8月、その半年後にウクライナ戦争が始まった。バイデン大統領が対面では初となるクワッド(日米豪印)首脳会談をホワイトハウスで開催したのが、その前年の9月だ。

米国は常に敵を想定する。敵がいなければNATOは存在理由がないからだ。以前は最大の敵がタリバンだったわけだが、それに負けてしまい、次の存在理由を探さなければいけなくなった。それが中国であり、ロシアだった。

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