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短編小説「澄んだ朝」7/コ・ビョンサム

2022年12月09日 09:00 短編小説

ビナロン研究をおし進めたのも、朝鮮を未来に向かって前進させようとする最高司令官同志の情熱とその科学的予見性にもとづいたものである。戦火のもとでも前進運動は継続されねばならず、破壊にうちかつ創造力をもたなければならなかった。最高司令官同志は、さっきも科学者と会い、新たな研究事業の展望をさししめしたのであった。

深い思索にふける最高司令官同志は、耳もとに、再び人民の声や子どもたちの本を読む声がひびいてくるのか、山のふもとに疎間した家々を脳裏に描いて見るのだった。

「…夜は燈火管制のため明かりを見ることもできません。しかし、どこへ行っても子どもたちの本を読む声が聞こえます。その声を聞くとき、トンムたちには明日が見えませんか? かれらにりっぱな学校をたててやりたい、この世で一番よいものをあたえたいと考えるようでなければなりません。人民はすでに、新しい学校をたてることを考えています。この人民の心を知るべきです」

最高司令官同志はちょっとことばをきった。1人の将官が入ってきたからである。姿勢を正して立った将官は、ただごとではない表情でメモを最高司令官同志に手渡した。

「××軍団長トンムですか?」

力づよい声が室内にひびいた。東部戦線だけでなく、西部戦線でも容易ならぬたたかいがくりひろげられていた。設計家たちは軍事上の問題はよくわからなかったが、解放した地域において寸土をも敵にわたしてはならぬ、という最高司令官同志の命令が、ずしりと胸にひびいてくるのだった。

席にもどると、最高司令官同志は何ごともなかったような、おだやかな声で話をつづけた。

「わたしたちはなぜ戦争をしながらも都市と工場を設計し、地下劇場を建設するのでしょうか? 戦火で人の心がすさぶこともあります。この荒廃した心に新しい芽を吹きださせ、傷口をいやしてやらなければなりません。戦争で勝利した後、人民にただちにすばらしい家をたててやるべきであり、世界に名声をとどろかす芸術を創造する文化宮殿もたてなければなりません。育ちゆく子どもたち、新しく生まれる子どもたちのために学校や託児所を少しでも早くたてなければなりません。戦争が終わってからあわてるのは、わたしたち共産主義者の活動方法ではありません。

わが民族と労働者階級が文明な社会をめざす進路を戦争のためにおくらせることはできないのです」

最高司令官同志は話をむすぶことができなかった。昨夜鉄橋が復旧され、緊急な軍需物資を積んだ列車が前線へ発車したという電話が入ったからである。最高司令官同志は、どんなことがあっても列車を今夜半までに到着させるように指示した。

(つづく)

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