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短編小説「澄んだ朝」11/コ・ビョンサム

2022年12月16日 09:00 短編小説

「展望設計ができたら細部図をつくり、アパー卜と大きな建物の設計図も書いてみなさい。工場設計の専門家たちはいま現地に出ているのでしょう? もどってきたらさらに大きな課題をあげます。各道所在地の復旧建設総計画図も作成しなければなりません。技術者をもっとおくります。

安心して設計のできる場所を準備しすべての条件を保障しましょう…。 夕方に7番トンムをここへ呼んでください」

その声に、全生涯を回顧するような深い考えからさめた副官が、目をかがやかせて答えた。「わかりました最高司令官同志!」

最高司令官同志は設計家たちにたずねた。

「ところで家族はお元気ですか。何か不便なことかあったら申し出てください」

「いいえ、何もありません」

老設計家が答えた。

「そんなはずはありません。トンムはどこか悪いようですね。顔色がよくありませんよ」

「大丈夫です、最高司令官同志」

細面の設計家の答えだった。

「3度の食事をきちんととり、身体をいたわりながら働きなさい。今はたいへんでしょうが…。みんな力を一つにしてすべてにうちかちましょう。意志と信念でですよ」

最高司令官同志は瞬間、真剣な表情をうかべたが、軍服を着た設計家の、まだあどけなさをとどめた顔を見つめながら、ロもとをほころばせた。

「トンム、結婚はまだのようだね?」

「…」

「なぜしないのかね。戦争が終わってからするつもりでいるようですね。で、恋人はいますか」

最高司令官同志の親しみのこもった問いに、青年は、まるで最高司令官同志のもとでながい問暮らしてきたような気持になった。最高司令官同志の前では卒直でなければ、と考えたかれは、赤くなった顔をふせて、小さな声で答えた。

「戦線におります」

「そうですか…。すわって話してごらんなさい。で、戦線で何をしているのかね。ほう看護員…。恋人を戦線において後方にいるのはつらいでしよう。どこの戦線なんだね」

「東部戦線であります、最高司令官同志」

「早くかけなさい」

といって、最高司令官同志は目をつぶった。

戦線で見た娘たちの顔は戦火にいぶされてすすけていたが、その瞳は星のようにきらめいていた。あの娘たちの中に青年の恋人がいるのだ。

「勝利したあかつきに再会すれば、つもる話も多いことでしよう」

最高司令官同志は笑いながら椅子から立ちあがった。設計家たちも立った。

最高司令官同志は設計家たちの一人ひとりの手を握った。

(つづく)

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