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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 65〉世界の奈落における読書案内③

抵抗としての、「聞く」こと、「書く」こと 人倫の臨界、言語の限界、人文学(ヒューマニズム)の切り捨てが進行するさなかで、佐藤泉『死政治の精神史 「聞き書き」と抵抗の文学』(青土社、2023年)を読む。…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 62〉佐多稲子②

侵略と戦争を防ぐ、反省のあり方 佐多稲子は、1940年6月、朝鮮総督府鉄道局の招待で、壷井栄を誘い朝鮮を旅行する。「朝鮮ブーム」とともに「内鮮一体」「日鮮融和」を促進したい当局の思惑を背景に、佐多も朝…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 61〉佐多稲子①

100年前の「東京地図」を再読する 「工場の汚水の流れ出る曳舟川の紫色の水の上に、うつ伏せに浮いた死体もそのまま。井戸へ朝鮮人が毒を入れたと噂が飛ぶ。一晩中朝鮮人に追いかけられて逃げたという人がいる。…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 60〉関東大震災100周年、朝鮮人虐殺と日本文学②

100年後、再び「羊の怒る時」 100年前の関東大震災朝鮮人虐殺をめぐり、歴史研究、文学、アートなど各分野でさまざまな催しが行われたが、新宿梁山泊による演劇「失われた歴史を探して」(作=金義卿/演出=…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 59〉関東大震災100周年・朝鮮人虐殺と日本文学①

記録・再現・批判としての文学を 関東大震災朝鮮人虐殺から100周年を迎えた。犠牲者追悼と責任追及の各種行事、シンポジウムなどが相次いで開催されている。だが真相究明、過去清算はおろか、日本社会の現実はこ…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 58〉小田実⑤

屈折した空しい欲望の醜さ 小田実(おだみのる)について回数を重ねているうち、ちょうど8月と重なったので、短編小説「折れた剣」についても加えて紹介しておきたい。

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 57〉「難死」をのりこえる一世の「勁(つよ)さ」/小田実④

小田実(おだまこと)の描いた在日一世の「オモニ」の、生活実感における即物性と現実的態度、そして格言のように真理を突く人生哲学の言葉は、「通念に基づくタテマエをまっこうから粉砕する力」を持つ。 日本へ仕…