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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 65〉世界の奈落における読書案内③

2024年03月29日 06:00 寄稿

抵抗としての、「聞く」こと、「書く」こと

人倫の臨界、言語の限界、人文学(ヒューマニズム)の切り捨てが進行するさなかで、佐藤泉『死政治の精神史 「聞き書き」と抵抗の文学』(青土社、2023年)を読む。「生政治/死政治」による支配――「生きさせる政治」(あくまで戦争や経済成長のための福祉社会体制)から「死ぬに任せる政治」(新自由主義と自己責任論)へ。ここからさらに一線を越えた段階の「すでに死体とみなす政治」(生きていなくていい、その生は無駄である、とみなす政治)へ――2016年相模原障がい者施設襲撃事件と犯行正当化の論理が象徴するように――同書はこうした時代認識に貫かれている。

佐藤泉『死政治の精神史 「聞き書き」と抵抗の文学』(青土社、2023年)

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