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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 55〉「遠い未来」から見た自主路線/小田実②

2023年05月13日 08:52 寄稿

「私が『北朝鮮』でもっとも痛切に考えたのは自由のことだった。…(朝鮮社会には自由がないとか、自由はないけど平等はあるというようなありきたりな想念ではなく)私は自分自身についての自由の不足を感じていた。いかに自分が自由な考えをしていなかった、いないかについて考えていた」――前回に続き紹介する小田実(おだまこと)の朝鮮訪問記『朝鮮と私』は、このような自己内省の態度からもっとも「不自由」なまま、無知と侮蔑による臆見と断定に満ちた、現在までに至る日本社会の朝鮮認識をあらためて省みるうえで、再読三読に値するものだと思う。

『私と朝鮮』(筑摩書房刊・1977年)

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