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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 60〉関東大震災100周年、朝鮮人虐殺と日本文学②

2023年10月28日 06:00 寄稿

100年後、再び「羊の怒る時」

100年前の関東大震災朝鮮人虐殺をめぐり、歴史研究、文学、アートなど各分野でさまざまな催しが行われたが、新宿梁山泊による演劇「失われた歴史を探して」(作=金義卿/演出=金守珍)は力作だった。なかでも、3・1独立運動を銃剣で弾圧し、除隊、帰国後に在郷軍人として自警団に加わる登場人物の描写は重要だった。朝鮮人虐殺が単なる自然災害下のパニックによる偶発的なものではなく、植民地戦争という歴史的文脈から、朝鮮人の抵抗に対する怨恨と恐怖、復讐心が、虐殺の狂気へと走らせ、正当化する精神構造を作ったのだ。かの大虐殺は、植民地主義によるジェノサイドとして本質を捉えねばならない。

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