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【連載】「育つ力~いまを支える人々が語る民族教育~」/Episode6・西東京地域の朝青世代

2024年03月12日 16:25 主要ニュース 総聯 民族教育

愛校活動に取り組む卒業生たち(写真はすべて朝青西東京本部提供)

これまで本連載で紹介されたように、民族教育を支える人々といえば、そのほとんどが30~40代の同胞たちだった。一方、次代を担う朝青員たちもウリハッキョのために各地で様々な活動を繰り広げている。
今年1月、学校創立78周年を迎えた西東京第2初中(東京都町田市)。同校の学区となる総聯西東京・町田支部と神奈川・中北支部の青年たちは未来の保護者層を潤すために組織活性化に注力している。

未来に直結する青年たちのネットワーク

1946年に町田朝聯学院としてスタートした西東京第2初中は、児童・生徒数の減少により2008年に中級部が休校となった。当時、前年に復活した幼稚班(97年一時休園)と初級部の体制で運営していた同校だったが、一方で地域の成人式への参加率低下など卒業生たちの中で、学校と地域への愛着が薄れていったという。李政愛名誉校長は「当時、将来のウリハッキョと同胞社会に対する危機感を募らせた教員たちが、学校存続のために保護者たちに働きかけるなど奔走した。そうして16年に中級部を再建した」と話す。

同校には現在、東京都の最南端にある町田市や隣県の神奈川・大和市などから91人の児童・生徒が通う。また、同校の学区には町田支部と神奈川・中北支部が在り、そうした地理的な特徴から、学校支援の枠組みは長年、地域の垣根を越えたものとなってきた。

例えば、町田地域青商会と中北地域青商会は1983年から開催されているチャリティーゴルフコンペ実行委員会の主力を担い、2012年からは合同で「タマニ・チャリティーカップ」を主催。チャリティー金の寄付のみならずイベント前には学校美化活動で汗を流してきた。

そうした中、民族教育対策委員会では学校と学区内の総聯組織、各団体から集まった委員たちが児童・生徒数増加のために知恵を集めている。

学校行事が行われるたびに多くの卒業生が集まる

今年2月に行われた同委員会では9月に予定される「ウリ民族フォーラム2024 in 西東京」の方向性についての討議に加え、入学対象となる家庭の名簿把握状況が議題にあがった。同委員会は中級部再建時には学区の総聯支部委員長と同校校長の3人で運営されていたが昨年からはより多くの委員が参加し、地域一丸となって同校を支えていく形に一新された。

同校では今、世代が変わり核家族化などの影響から、把握数に対しての入学率は高いが、その母数が減少しているという課題に直面している。特に青商会、朝青世代に対する把握が喫緊の課題だという。

町田支部を担当する朝青西東京本部の李琇禎副委員長も「結婚や引っ越しを機に学校や組織との距離ができてしまうなどの理由で、朝青から青商会にうまく繋げられない傾向がある」と話す。

こうした現状を打開するため、2月の同委員会ではフォーラムの開催を機に本部管下の全組織がネットワークを活かして、新たに同胞家庭を探し出そうと一致をみた。とりわけ、朝青では学校を拠点とした組織の活性化と同盟員拡大を図ることで、未来の保護者たちである同世代の地盤強化に、精を出している。

 朝青と児童の交流会

各地の朝鮮学校で何か行事があると、地域の朝青員たちがスタッフとして駆けつけ、力仕事から子守りまであらゆるサポートを担っている光景を目にすることは少なくない。

町田支部と中北支部の朝青員たちも、西東京第2初中で行事が開催されるたびに一日スタッフとなり、ドリンク販売、撮影係、駐車場整理などを代々担ってきた。

そんな中、昨年11月には、朝青員たちが定例行事以外で学校を訪れる機会があった。

交流会では、写真を用いて朝青活動を紹介した

学校の少年団活動の一環で企画された児童と朝青員の交流会だ。同校の児童たちは地域同胞社会の愛を知ろうというテーマで学区の総聯支部と女性同盟支部を取材。そして、朝青とは、交流会という形で、草むしりやドッジボールで交流を深めた後、朝青員へのインタビューを行った。

当日の活動を記した朝青町田支部のインスタグラムの投稿には「#学生対朝青員 #ボロ負け」のタグもあれば「#この子たちが大きくなって朝青活動できるように今頑張ります」とのタグがあった。

朝青中北支部を担当する朝青神奈川県本部の朴鐘亨宣伝部長は「朝青員が児童たちからの朝青活動に対するインタビューに答える過程で、自分たちがなぜ朝青活動を行っているのかを改めて考え、再認識しているようだった」と話す。また、朝青中北支部組織部長の金忠学さん(26)も「実際に児童たちとふれあうと、より一層『自分たちはこれを守りたいんだ』という本質的な部分に触れられた」と振り返るように、交流会は、児童たちが朝青を知る貴重な機会になった一方で、朝青員が朝青活動の意義を改めて考え、決意を新たにする機会となった。

「クニュッソンセンニム(筋肉先生)という愛称をつけられて楽しかった」と交流会を振り返る金さんは

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