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〈民族教育と朝鮮舞踊17〉舞踊教員のための専門的な祖国講習―総聯教育者代表団(舞踊)―

2022年06月30日 08:00 寄稿

平壌音楽舞踊学院(旧平壌音楽舞踊大学)舞踊学部の先生方と (中段右から2番目-リ・ホウォン院長、1番目-カン・グァングッ学部長、上段右から2番目-リ・インスㇰ先生、中段右から3番目-筆者)

2006年7月29日から8月19日まで、舞踊教員だけの専門的な祖国講習が実現した。その年は民族教育における中等教育実施60周年、朝鮮大学校創立50周年を迎えた「民族教育の年」でもあった。80年代から総聯教育者たちの祖国訪問が実現し、朝鮮語をはじめ専門分野の講習などが行われてきたが、舞踊教員単独での代表団は初めてであった。

私は団長として9人の舞踊教員たちとともに祖国を訪問し、舞踊理論や基本動作、舞踊創作などを学ぶ絶好の機会に恵まれた。3年前から準備していた講習は、祖国の舞踊芸術と舞踊教育の成果を直接見て学び、民族性培養の効果的手段である朝鮮舞踊を教える教員としての使命感と理論知識や実技能力など芸術的資質を高めるための貴重な講習であった。

ところが、出国直前に「ミサイル騒動」で「万景峰-92」号が入港できなくなったのだ。再入国許可を取るのに1週間もかかったり、許可が出るときにも渡航禁止のシールを貼られたりして、日本政府は私たちの祖国往来を妨害しようとした。他の講習は取りやめになったり、延期を余儀なくされたりしたが、舞踊教員たちは躊躇することなく空路での訪問準備に取り掛かった。それほど祖国での講習を強く待ち望んでいたのである。このような時にこそ祖国に行って沢山学んで来るよう、各学校の校長先生をはじめとした同僚教員、家族が背中を押してくれたのだという。

平壌音楽舞踊学院中学班5年生(15∼16歳)と授業参観後の記念撮影

平壌に着いた私たちは、祖国で「勇敢な先生たち」だと過分に評価を受け、願い出たあらゆる希望や要求をすべて叶えてもらえた。舞踊理論の講義では、「舞踊芸術論」を平壌音楽舞踊学院(旧平壌音楽舞踊大学)舞踊理論室室長であるリ・マンスン先生(筆者の碩士・博士論文の指導教員)が、「舞踊基礎理論」を講座長であるモク・ヨンチョル先生が、「舞踊創作法」をキム・チャンワン先生が行ってくれた。朝鮮舞踊基本及び基礎動作、チャンダンによる歩法などの実技は、平壌音楽舞踊学院教授指導科のリ・インスク先生が行った。そして舞踊指導法のスキルを高めるため、平壌音楽舞踊学院の中学班1年生から5年生(11∼16歳)までの朝鮮舞踊基礎授業と「万景台学生少年宮殿」舞踊サークルの授業を参観し、指導教員たちとの交流を通じて朝鮮舞踊教授法を理論実践的に習得するというとても有意義な講習内容も受けることができた。子どもたちの年齢心理的、身体発達的特性を考慮した科学的で体系的な授業内容や指導法には目から鱗が落ちるように啓発されていった。

本講習で特記すべきことは、団員たちがそれぞれ舞踊作品を1作品ずつ創作したことであった。事前に準備していった作品の主題や構成の草案をもって先生方との討論を重ね、舞踊台本を作り、舞踊曲を作曲家に依頼して完全なオリジナル作品を創ったのである。高級部の舞踊創作は、著名な按舞家であるキム・ラギョン先生、ペク・ファニョン先生、平壌音楽舞踊学院のカン・グァングッ学部長先生、按舞科のチェ・スンホ先生に指導を受けた。初・中級部の作品は、ソルマジ(迎春)公演の創作集団である青少年課外教養指導局の按舞家、ユ・ミヒャン先生とソン・フィスク先生、ラ・ヘヨン先生方がマンツーマンで指導してくれた。

私たちは講習期間、舞踊理論について6講義、舞踊実技を22講義、舞踊創作を30講義、6時間の授業参観と2ヵ所での舞踊教員たちとの交流を行い、夜は16回の自主練習及び創作作業を行うなど、文字通り「舞踊漬け」の3週間を過ごした。そして、出国前日には関係者や先生たちの前で、実技総括として朝鮮舞踊基本と基礎、創作作品の発表を行った。

祖国で作曲・録音してきた舞踊曲(9曲)を収めたCDジャケット

団員の中には、民族教育に青春と人生を30年以上捧げた教員もいれば、24年ぶりに祖国を訪れた教員、朝鮮大学校を卒業したばかりの新任教員までいた。校種も初級部1人、中級部4人、高級部4人と多様な団員構成であった。講義や実技指導を受ける瞬間が、毎日が、驚嘆と感動の連続であると団員たちは話していた。そのため、一日も休まないハードな講習が行われても精力的に学んだのであった。私も含めて、教員にとって自分自身が学び高められる時間がとても貴重で幸せなものであると実感していたからである。

祖国では創作した舞踊音楽の演奏録音、舞踊衣装から小道具まで揃えてくれた。舞踊音楽の録音のために国立民族芸術団の演奏家、声楽家数十名が録音スタジオのある朝鮮中央放送局に来て演奏し、録音した音楽の編集をリ・チャンソク音楽演出家と国立民族芸術団の作曲家、2人の指揮者たちが夜を徹して完成させてくれた。録音に立ち会った私は、金管楽器の半音の間違いを探し出し、修正演奏を指示する音楽演出家の凄み、民族教育のために一日中演奏をしてくれる奏者たちに、その意義を説く音楽演出家の姿に尊敬の念を覚えた。初・中級部の音楽は、青少年課外教養指導局の作曲家室長や作曲家たちが作曲し、演奏・録音をしてくれた。また、舞踊学部伴奏科のチャンゴとカヤグムによるモㇺプリ動作(準備動作)の録音もすることができた。

舞踊教員祖国講習では、平壌音楽舞踊学院、青少年課外教養指導局、国立民族芸術団、文学芸術総同盟舞踊家同盟、中央放送委員会音楽録音室、映画及び放送音楽団などの創作家、講師、指導員ら29名の専門家が、10名のみの在日同胞教員のために同胞愛あふれる指導と援助を与えてくれた。祖国のあたたかい愛情と配慮は胸に深く沁みわたり、感銘と敬服に満ちた祖国講習となったのであった。

朴貞順(朝鮮大学校舞踊教育研究室室長)

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