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〈学美の世界 68〉線画に見られる児童の造形的成長/姜泰成

子どもの造形活動には年齢とともに顕著な成長の段階が見られる。特に、線画における表現の変化は、感覚的な表現から構造的・概念的な表現への移行を示す重要な手がかりとなる。ここでは、初級部1、4、6年生の作品…

〈学美の世界63〉表現は社会への行動の追求/玄明淑

思春期真っ只中の中級部生、学校生活にやっと落ち着いた2、3年生にもなれば社会の在り方、流行や疑問も含めて自分を取り巻く環境に対して敏感に反応する。そんな日常の中で生徒たちは授業や課外活動で学んだこと、…

〈学美の世界61〉有限な生命を燃焼する無限な生き方/康貞淑

 生き物に魅せられそれらの特徴を語る子どもたちは、表層の形や色を描きながら、目に見えない深層の多様性を無意識のうちに捉えているかもしれない。書類上の属性ではない、価値観などのパーソナリティーは視認でき…

〈学美の世界60〉多種多様な表現/金洸秀

この世界で約80億という人間が生きているが、全く同じ人間が存在しないように、絵による表現も80億、粘土による表現も80億と、色々な形の表現がまるで生き物のように存在している。人類が誕生し、他人とコミュ…

〈学美の世界59〉思考と心象のリアリズム/朴一南

今回50回記念展を迎える在日朝鮮学生美術展(学美)は、コロナ禍を乗り越え今年ようやく4年ぶりの中央審査会が行われ、授業作品優秀賞や中高クラブ作品から金銀銅と特別金賞が選ばれた。 学美は一般的な学生(児…

〈学美の世界58〉美術・図工の授業について/金明和

美術・図工において、題材や画材の設定は授業の肝であり、些事でもある。美術・図工の授業は他の授業と違い、何年生の何月はこれをしなければならないという具体的なカリキュラムの縛りがなく、それらは教員の裁量に…

〈学美の世界57〉夢中から見えてきた「実体」/崔栄梨

本作品は、仮想のスマートフォンとその会社をモチーフにした。仮定して作られたスマホのレプリカ、パンフレット、プロモーション用のスライドや映像などが作品の内容である。 パンフレットや企画書に記載されたスペ…

〈学美の世界56〉敬意と喜びの渦に包まれ/金誠民

今、ウリハッキョに備わる造形教育の環境は、より柔軟に美術(Art)を体現できるようにデザインされている。勿論、美術クラブの活動は言うまでもなく、絶え間ない研究と実践の中であらゆる表現媒体とふれあい、自…

〈学美の世界55〉澄んだ眼に映る世界と未来/成明美

見えるものも見えないものも感じたまま形にし、作品を産み出すあふれんばかりの力。日々の生活の中で見て聞いて感じたことを五感で捉え、そこから見えたことや浮かんだ物、情景を表現する子どもたちの斬新で豊かな感…

〈学美の世界54〉続、東京中高・鄭大悟 作品表現の旅(下)

東京中高・鄭大悟さんは高3の時期に学生美術展と自ら応募したGEISAI♯21(2022年8月21日、東京ビックサイト)のための制作作業にとりかかる。この過程で鄭さんは、自身の作品である「拾混合力士像」…

〈学美の世界53〉続、東京中高・鄭大悟 作品表現の旅(上)

ある美術部顧問は今年卒業した各地の美術部卒業生たちを「尊敬すべき生徒たち」と称した。同感だ。困難の中、自分の表現を伝え続けたのだから。今回、22年3月に寄稿した東京中高・鄭大悟さんのその後、彼の創造と…

〈学美の世界52〉アップデートされる表現/河美香

学美は回を重ねるごとに、表現方法、表現媒体がどんどんアップデートされている。それは絵画作品にとどまらない。立体作品は材料も規模も多彩になり、写真作品、映像作品と多種多様になっている。一つの展覧会で、こ…

〈学美の世界51〉「想い」の表現/金潤実

自己に向かう豊かな想像力は、同時に誰かの複雑さを想う力にもなる。想像力によって他者に出会い、他者を想う時、そこに表現されるものは決して理念ではない。クラブ生の作品を中心に、誰かを想い、誰かのための表現…

〈学美の世界50〉作品の「言葉」、唯一無二の表現/文真希

児童は心躍る瞬間に遭遇したとき、感じたままを無我夢中で詰め込み、それぞれの「背丈」で正直に表現する。やがて成長に伴い、磨かれた個性と培われた経験、教養の蓄積を織り交ぜながら、より芯のある骨太な作品をつ…

〈学美の世界49〉纏わぬもののカタチ/康貞淑

連なる発想を膨らませた後、間をあけて客観的に判断する。このプロセスの循環が、カタチとなる。カタチは千差万別だが、ひた向きに追い求める者の姿や率直さはみな眩しく映る。 ◇◇ 丸いものは何だろう。太古の生…

〈学美の世界48〉生活を記憶する学美/朴美奥

「美術は生活を表す」という言葉の通り、芸術作品にはその時代の政治や社会環境、流行や価値観が色濃く反映されている。 トレンドが目まぐるしく変わる現代の中で生きる生徒たちもまた、さまざまな生活環境の中で得…

〈学美の世界47〉「はくぶつかん 博物館」/崔栄梨

紹介する2つの作品は、全く違いながらも、相似形に思える。博物館というモチーフ、洞窟のようなフォルム。まるで、入り口と出口のようだ。 ◇◇ とてもミニマルな造形で、一目で何を描いているのかを特定できない…

〈学美の世界46〉「余白」が織り成す美への共鳴/金順玉

広い「余白」に魅了されて。 余白というのは「空間」であってその空間の中に入って初めて「わかる」ことができる。 ◇◇ 真っ白い画面にビュービューと風が吹き、家の中で外の様子をうかがう少年。(作品1) 冬…