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〈学美の世界53〉続、東京中高・鄭大悟 作品表現の旅(上)

2023年05月29日 18:54 文化・歴史

ある美術部顧問は今年卒業した各地の美術部卒業生たちを「尊敬すべき生徒たち」と称した。同感だ。困難の中、自分の表現を伝え続けたのだから。今回、223月に寄稿した東京中高・鄭大悟さんのその後、彼の創造と成長を振り返ることで、不利な状況下で、3年間創作表現に捧げた各地の美術部員たちに思いを馳せたい。

鄭さんの表現は高2の出品以降、がらりと変化した。その時までも鄭さんは、自分の持つイメージを平面やインスタレーション、パフォーマンスという多様さで表現していた。その作品群は、作家が独自の世界観を構築し、他の作家やアート作品を吸収し成長してきた証とも言える。

変化は東京都中央展という場に向け、巾1m×奥行1m×高さ2m、重量50kgという制限ぎりぎりの制作に挑むところから始まる。時に、表現の不自由さは作家に創造性を与えてくれる。作家はこの制限の中に自立する金剛力士像を見出した。

材料は校内の廃材。いきなり作品の足元、まさに足から制作を開始した。まずは鉄板の廃材を使う。重みを出し、2mでも自立できる作品にするためだ。上部に行くに従って軽い材料を使う。

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