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短編小説「澄んだ朝」14/コ・ビョンサム

首領のために突撃前へ!平壌市を建設するために突撃前へ!工場をたてるために突撃前へ!溶鉱炉で鉄を生産するために突撃前へ!新しい生活と未来のために突撃前へ!心臓からわきあがるおたけびの声がとどろいた。 朝…

短編小説「澄んだ朝」11/コ・ビョンサム

「展望設計ができたら細部図をつくり、アパー卜と大きな建物の設計図も書いてみなさい。工場設計の専門家たちはいま現地に出ているのでしょう? もどってきたらさらに大きな課題をあげます。各道所在地の復旧建設総…

短編小説「澄んだ朝」10/コ・ビョンサム

軍服を着た青年設計家は、くちびるをふるわせなから顔をふせた。老設計家もこらえきれなかった。かれは息をつくことも話すこともできなかった。全人民にたいするあつい愛情、まるで宇宙を見わたすような最高司令官同…

短編小説「澄んだ朝」9/コ・ビョンサム

最高司令官同志は、再び壁の朝鮮地図を見つめた。 白頭山頂に登り天池(白頭山頂にある湖の名※訳者注)を見おろすようなまなざしであった。そのまなざしは、耳に聞こえてくる白頭山の雷鳴、天池の青い水の波紋、密…

短編小説「澄んだ朝」8/コ・ビョンサム

すべてがこの部屋に集中していた。最高司令官同志には1秒の時問の余裕もなかった。すべてが緊迫していた。朝鮮の運命をかけた切迫した質問に、即座に勝利の解答をあたえなければならなかった。設計家たちの胸はます…

短編小説「澄んだ朝」7/コ・ビョンサム

ビナロン研究をおし進めたのも、朝鮮を未来に向かって前進させようとする最高司令官同志の情熱とその科学的予見性にもとづいたものである。戦火のもとでも前進運動は継続されねばならず、破壊にうちかつ創造力をもた…

短編小説「澄んだ朝」6/コ・ビョンサム

最高司令官同志は満面に笑をたたえながら一人ひとりの手を握り、椅子をすすめた。設計家たちの中には肩章のあとも鮮やかな軍服姿の青年が一人いた。 「除隊したんですか?」

短編小説「澄んだ朝」5/コ・ビョンサム

まる1世紀を体験したような夜を明かしながらも、本を読む子どもたちの声を聞いた最高司令官同志は、口もとをほころばせてじっと耳を澄ましていた。子どもたちがのびのびと学ぶ学校や、文化宮殿などが建ちならぶ街路…

短編小説「澄んだ朝」4/コ・ビョンサム

赤鉛筆で地図の上に矢印を書きこんだ。今すぐにもすべての戦線で突撃にうつるかのように、赤い線を何本も引いた。そして命令書を副官に手わたした。 「各軍団に無電をうちたまえ」

短編小説「澄んだ朝」3/コ・ビョンサム

…東部戦線、中部戦線、西部戦線…。前線と後方、諸現象との連関と統一、相互依存、均衡と速度、集中運動の連続性…。これらすべてを鋭く見抜くような文字が紙の上にくりひろげられ、まるで生きもののように活発に動…

短編小説「澄んだ朝」2/コ・ビョンサム

「東部戦線から無電が入ったかね?」 「まだです、最高司令官同志!」 「まだか…。△△トンムはいるかね」 「はい、おります」 「ところで、トンムはなぜ寝ないのだね。はやく行ってやすみたまえ」 最高司令官…

短編小説「澄んだ朝」1/コ・ビョンサム

最高司令部の時計の針は午前3時を指していた。