【連載】「育つ力~いまを支える人々が語る民族教育~」/Episode8・京都・女性同盟×青商会
2024年04月05日 08:00 民族教育尊さと危機感共有し「有言実行」
昨年末、京都では、女性同盟子育て支援部と府青商会がコラボして、学齢前児童を対象としたクリスマスイベントを初開催した。これは、中央青商会が主催した「民族フォーラム2022」において、ウリハッキョ支援のための団体間の協力体制構築が呼びかけられたことを受けてのものだった。イベント当日は、約180人の参加者たちでにぎわう一方、民族教育を守り発展させるうえで、その中核を担う両団体のメンバーたちは「今回の連携体制を地域に落とし込み、地域活性化につなげたい」(京都府青商会・朴哲世副会長)と今後への意気込みを新たにした。
非専従中心の協議体
2022年5月の総聯第25回全体大会後、女性同盟京都府本部では、京都民族教育の強化・発展に向けて子育て支援部の再整備が図られた。府内の同事業を統括する本部協議体(3人)に女性同盟本部の鄭英姫副委員長(専従)と非専従の役員2人を引き入れ、新たに学区責任者を設けたほか、京都初級学区内の7つの支部(南、西、伏見、南山城、西陣、左京、山科)と、京都第2初級学区内の3つの支部(右京、中京、西南)では、子育て支援部長・副部長の2人体制が共通して敷かれた。
「かつては専従活動家たちが土台をつくり一方的に提案するような形だったが、いまは各学区保護者たちからの信頼も厚い、非専従の子育て支援部長2人が協議体に入ってくれたことで、3者それぞれの立場から密な話ができている」
女性同盟本部の鄭英姫副委員長はこう言いながら、自身と共に協議体の一員として、また学区責任者としても役割を担う丁善美・本部子育て支援部長(本部常任委員、京都第2初級学区責任者、右京支部副委員長)、金栄恵・伏見支部子育て支援部長(京都初級学区責任者)に対する信頼をのぞかせた。
現在の体制を敷いて以降、鄭副委員長は子育て支援部の事業に心血を注ぐ2人の姿を度々目にしてきた。例えば、子どもたちの習い事の合間にスーパーの駐車場で協議をしたり、それが無理なときには仕事、家事、育児がすべて落ち着いた夜中に、眠い目を擦りながらLINE通話で協議に臨む。
「皆、自分が決めたことだし、自分の責任のもとでやる」―。これは丁善美部長が呼びかける協議体の合言葉だという。「協議体で大変なことも多いけど、私たちだけが大変なわけじゃない。私たちには、同じ思いや気持ちを持って、一緒に頑張ってくれている各支部の子育て支援部のメンバーたちがいる」(丁善美部長)。
鄭英姫副委員長は「(2人は)専従活動家がそう言ったでしょ、というような言い訳をしない。自分は非専従だけど、やると決めたことに納得し実行したから、すべて自分の責任だという。そうした2人の覚悟に毎回奮い立たされている」と本音をこぼす。
本部常任委員、学区責任者といったいわば「重い」役割への抵抗以上に、何が2人を突き動かしているのか。
丁善美部長は打ち明ける。「部長の打診があったとき、最初は『自信もないしできる気がしない』とキッパリと断った」。けれど、前期に初めて支部常任委員を引き受け、それまではそのワードさえ耳にすることがなかった「子育て支援部」の事業に邁進した経験もあり、「断るのは簡単だが、では逆にやるとすれば、どうやったらできるだろうかと悩み、考えた」という。「これは自分自身の生き方の問題だと思い、気持ちを整理し決心した」(丁善美部長)。
しかし一方で、拭えない不安もあった。