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【連載】「育つ力~いまを支える人々が語る民族教育~」/Episode7・南武初級 児童募集推進委

2024年03月25日 11:45 民族教育

新体制で用意周到に先手を

支部花見の際には新入生の家庭が紹介される

神奈川県内の朝鮮初級学校3校のうちの一つである南武初級は今年で創立78周年を迎える。草創期には同胞たちのカンパと寄付などによって校舎が立ち、70周年を迎えた際には1口5千円運動によって学校設備のリニューアルが行われるなど、幾星霜を経ても同胞たちの愛は色あせることを知らない。
同校では、総聯神奈川・南武支部、保護者、学校を中心に、「1支部1学校」の特徴を活かした児童募集活動が推進されている。

「意味のある会議」に

1月中旬に開かれた児童募集推進委員会の会議には総聯南武支部管下の各団体の代表に加え、同校教員たちとアボジ会、オモニ会の代表たちが一堂に会していた。会議では、今年初級部1年に入学する児童の対象家庭が入学を決めるに至った経緯と経験、課題を共有し、来年度の対象候補となる同胞家庭の朝鮮学校入学に関する意向を確認。そのうえで個別具体的な対策を立てるなど、すでに来年度に向けたスタートを切っていた。

同委員会の会議が現在のようなかたちになったのは23年度からだ。

以前は月に一度の周期で会議を開いていた。しかし、総聯南武支部の金載旺委員長によると「会議を開くことが目的になっていた」という。それで、「意味のない報告会議ではなく、実りのある作戦会議」(金委員長)をしようと、支部が中心となり改革を講じた。

まず、月1回に定例化していた委員会の会議を不定期開催とした。開催の基準は募集事業の進捗状況によって判断した。総聯支部、学校教員、「問題意識が一際高く、多くの意見と行動を実践していた保護者」(金委員長)で執行部をつくり、事業がある程度前進したタイミングで執行部が会議を招集する形をとった。

同委員会の立て直しを図った初期に委員たちへのアンケートも実施した。アンケートは入学児童数の目標に関して行われ、自分たちの意思で目標設定することにより、モチベーションの向上を図った。

同委員会の活動で特徴的といえるのは「2-6-2の法則」に則って対象家庭を分類し、集中的に働きかける家庭を割り出していることだ。「2-6-2の法則」とは「働きアリの法則」になぞらえたもので、「意欲的な2割」「平均的な6割」「その他の2割」に当てはめたもの。子どもの入学先を迷っている「6」を同委員会で集中的に扱い、入学意思の低い「2」は支部と分会単位で働きかける体制をとった。

1月に行われた餅つきのようす

さらに、意欲的な「2」、すなわち南武初級の附属幼稚班に子どもを通わせている家庭、既に子どもを同校に送っている家庭からは入学願書を1学期中に受け取るようにし、すべての家庭から1月中の願書受け取りを目指した。これには、朝鮮学校への入学を迷っている家庭に同級生の人数をアプローチする材料として提示でき、1月以降は来年度に向けた準備を用意周到に行えるというメリットがある。

また、願書提出を1月までにという期限は、一般的に日本学校への通知書が1月に送付されることを念頭に置いている。南武初級の位置する高津区は11月に就学時健康診断が行われ、1月上旬には「入学期日・学校指定通知」が各家庭に送付される。そして1月下旬から2月中旬までに保護者説明会が行われる(高津区HP参照)。

同委員会はそれを前提に入学対象家庭への働きかけを6月から始め、その過程で明らかになった各家庭の現状を共有し、個別の課題を解くために知恵を集めた。例えば、とある家庭の母にはオモニ会、父にはアボジ会からそれぞれアプローチをかけるなど2重3重の担当制で募集活動を繰り広げた。

後手に回らず先手を打つ。会議の中身を合理的に改革した結果は、

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