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〈人・サラム・HUMAN〉兵庫の在日朝鮮人1世/赫田君子さん(100)

2024年02月28日 08:30 人・サラム・HUMAN

“いまは本当に幸せ”

「こんな新聞くれましたわ」。昨年5月、神戸市長田区のデイサービスセンター「イオ神戸」で出会った赫田君子(姜俊任)さんは、そう言いながら、自身の「100歳お祝い誕生日会」が紹介された朝鮮新報の紙面を嬉しそうに見せてくれた。センターで行われたお祝いの場には、赫田さんとその家族、利用者さんや職員らが参加。掲載された写真は参加者らの笑顔であふれ、それを見る赫田さんも「私は子ども4人に孫とひ孫は30人いるよ!」と破顔一笑した。

1923年、全羅南道・木浦生まれの在日1世。故郷での思い出は「結婚した女性は外に出たらあかんかった。だから家に居た記憶しかない」という。

「よくお父さんは『男はいいけど、女の子は学校行ったらあかん』『(長い)髪はたらしたまま外に出たらあかん』と言った。そんな時代やったよ」。

満二十歳の時に朝鮮人の夫と結婚、それまでは朝鮮半島で暮らし、その後1年して、日本へ渡った。4人の子どもに恵まれるも、結婚10年目で夫が急逝。息子一人も亡くし、3人の子を独りで育てながら「言葉も知らない中、必死に働いた」。生活に欠かせないチョソンパンチャン(朝鮮のおかず)は「いまでも自分でつくって食べる」という赫田さん。そう異国の地で生き抜いてきた延長線上に今日があった。「苦労話はもうできん。いまは本当に幸せ」。

(賢)

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