公式アカウント

〈取材ノート〉無自覚の危険性

2020年03月09日 15:13 コラム

取材ノートコロナウイルス感染症による社会的混乱が世界各地で起きている。なかでも深刻なのはデマやヘイト被害がこの数週間多発していることだ。

イギリス・ロンドンでは、シンガポール出身の青年に対し集団暴行が行われ、中東のパレスチナでも日本人女性が通りがかりの現地人の暴行被害に遭った。またオランダのアムステルダムでは、室内遊技場で遊んでいた日本人児童らが、現地の児童5、6人に囲まれ暴行を受けたことが明らかになった。これらはいずれも、感染症が拡大するアジア地域の出身者たちを標的にしたもので、目に見えない恐怖が無知と重なり、人種差別行為が横行する事態になっている。

日本のメディアやSNSなどを通じ海外でのアジア人差別に非難の声が相次ぐ一方、日本もまた例外ではない。

4日、横浜中華街にある中華料理店「海員閣」の公式SNSには「昨日届いた差出人不明の郵便物。気持ちは分からんでもない…けど、なんか悲しい…」などの文と封書の画像が投稿され、封書には「中国人はゴミだ!細菌だ!悪魔だ!迷惑だ!早く日本から出ていけ!!」と中国人を中傷する内容が書かれていた。

先述した人種差別行為同様に、これらすべて根を同じにするヘイトクライムであるが、SNS上には、海外で起きた邦人の被害にNOを叫ぶアカウントたちが、こぞって朝鮮、南朝鮮、中国人などへのヘイトを誘発する発言を量産している。このダブルスタンダードがいかに危険で矛盾するのか、無自覚極まりない行為である。

(賢)

Facebook にシェア
LINEで送る