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〈ヘイトの時代に 1〉学校が差別の現場に/京都第1初級襲撃事件から10年

2019年01月24日 13:38 主要ニュース

「ろくでなしの朝鮮学校を日本から叩き出せ」「何が子供じゃ、こんなもん。スパイの子供やないか」「約束というものは人間同士がするものなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません」(当時の報道から)

2009年12月4日、当時の京都第一初級の前で、聞くに堪えない「ヘイト」がまき散らされた。

排外主義団体である「在特会」などによる「京都第1初級襲撃事件」。学校が近隣の公園に用具を置いていたことなどを口実に、メンバーらは学校に押しかけ、拡声器などを使い差別街宣を行った。

学校の中には、まだ幼い児童たちがいた。当時、初級部3年生だった安英林さん(京都中高高級部3年)は昼食後、友人らと歯磨きをしようと学校敷地内の中庭に出たところ、在特会のメンバーに声をかけられたという。

「歯磨きをしてたら『ちょっとおいで』って言われて。そしたらすぐに先生に上に行ってなさいって言われて、2階にある教室に上がったら外に人がたくさん集まり、叫んでいた」

突然の襲撃に学校は騒然となり、子どもたちは逃げることもできず、およそ一時間、罵声に晒され続けた。怖さのあまり泣き出す児童もおり、教室の中は「パニック状態」だったという。

「怖かった。大きな声を出しながら、そのまま学校に入ってくる勢いだった」と、安さんは当時の恐怖を語る。他の生徒たちも「拡声器の大きな音が怖かった」「大人の男性が叫んでいるのが怖かった」「学校の雰囲気が緊張していた」と、当日のことを証言する。

2010年1月14日、京都朝鮮第一初級学校(当時)周辺をデモ行進する「在特会」のメンバーら、中山和弘撮影

事件後、学校はすぐに街宣の中止を求めたものの、10年まで計3回、学校周辺で行われた。その参加者数は街宣活動の度に増加。街宣参加者、抗議者、警察、関係者らで騒然とした。ヘイトの現場となった学校を取り巻く環境は、事件の日から一変した。

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