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武村正義・元官房長官、元滋賀県知事に聞く

2012年11月05日 14:04 主要ニュース 文化・歴史

道を開くために、政治家はすぐ行動を

金剛山歌劇団滋賀公演では、武村正義・元官房長官、元滋賀県知事が公演実行委顧問に就任するなど成功への惜しみないサポートを寄せた。同氏に話を聞いた。

すばらしい公演だった。かつて金剛山歌劇団の公演を何度か観たこともあって、とても懐かしく感じられた。変わらぬ伝統文化の良さを堪能することができた。文化や芸術に国境はない。現在、日朝間は政治的、文化的、経済的な関係が絶たれている。しかし、文化やスポーツには国境の垣根はないはずである。様々な交流が幾重にも行われることがのぞましい。ご存知のように滋賀県近江八幡市には、全国唯一の「朝鮮人街道」という名の道が残っている。かつては朝鮮通信使一行が来日した際に賑やかに歩いた道である。現在のように、海外の情報や文化を入手できることが難しいあの時代、異文化に直接触れ、珍しさや憧れを持ってご一行を迎えたことに思いをはせる。

歌劇団の滋賀公演の実現を喜ぶ武村正義氏

郷土の先人である雨森芳洲先生が朝鮮外交の真文役(担当者)として、朝鮮の文化、学問、風俗、習慣をよく理解しわが国との違いを尊重し、「互いに欺かず争わず」の理念を掲げ、「誠信外交」で大活躍したことも、滋賀県人にとって誇りを持つことの一つである。

また、いにしえの古代三国時代、近江の国に多くの人々が渡来して、古代日本に馥郁たる文化を伝えた歴史も鮮やかに刻まれている。現在の日朝関係は厳しい風波にさらされているが、そういう時だからこそ、金剛山歌劇団の公演には価値がある。堂々とした、優雅な香りあふれる朝鮮の優れた舞台に触れ、今、再び文化を通じて交流を蘇らせ、相互理解に取り組むことが急務となっている。

政治家の大事な使命の一つは平和に貢献することである。私は日朝関係を打開するためにも、民主党の諸君に「すぐ、平壌に行きなさい」と勧めている。いや、必要であれば私自身が朝鮮に飛んでいくつもりだ。一人でも二人でも志のある政治家が朝鮮の政治家と会って、信頼関係を深めるべきだ。そうすれば、道が開かれる。

私自身は金丸訪朝団の一員として訪問したのをはじめ5回訪朝、金日成主席とも3回お会いした。その後、滋賀県からの代表団と会われた主席から「武村知事はお元気ですか」と何度も尋ねておられたと伺ったこともある。今の指導者であるお孫さんの金正恩第1委員長は、主席と雰囲気がとてもよく似ておられると思う。胸襟を開いて話し合えば、相手側の考え方を理解し、感情の面でも深いところで分かり合えるようになる。

現在、日朝関係は閉塞状態に陥っており、最悪の状態である。これ以上悪くならないようみなで知恵を出し合わねばならない。一日も早く在日の人たちが祖国訪問のために利用していた船便「万景峰92」号が往来できるようになってほしい。両国政府が外交を開いて、国交を結ぶことが一番肝心なことである。日本の一番近い国で国交がないのは朝鮮だけ。東アジアの平和のために、両国が外交関係を結ぶことを切に願ってやまない。

現在のような異常な両国関係はよくないと多くの人が思っている。誰かが道を開かねばならない。野田首相も、タカ派として知られる自民党の安倍さんでさえ、交流を始めたいと思っているはずだ。拉致問題の解決のためにも、交渉や交流の場がないのは異常である。早くこの事態を変えなければならない。日本国民は(朝鮮に対して)好きも嫌いもない。いまは交流がないし、情報が一方的なのでなじみがないが、ほとんどの日本人は両国関係の改善に自信と希望を持って努力すべきだと考えているはずである。両国の正常化のために努力してきた者として、この声に応えるためにいつでも平壌に向かう用意はできている。

(まとめ=朴日粉)

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