公式アカウント

短編小説「春の農村にやってきた青年」23/千世鳳

「そうしたら、何て言ってました?」 「いまおまえさんがもらっている点数でも高すぎるとよ」 「な、なんだって? いまの点数でも高すぎる?」 おやじは返事もせず、真鍮の器に盛ったごはんにお湯をかけてさらさ…

短編小説「春の農村にやってきた青年」20/千世鳳

「収入ですって? 収入が多いか少ないかってことなんか、そう気にしていませんよ。この組合の去年の分配実績を見ると、相当の分配をしてましたが、機械工場に劣るようなことはないでしょうよ」 「でも、技術者は、…

短編小説「春の農村にやってきた青年」19/千世鳳

おやじは、今度はモーターの方に目をやった。それを見て管理委員長はまた大声で笑った。 「なにはともあれ、キルス君、もっと研究してみることだ。そして、きみの言っていた水田じか撒機も作ってみなさい。今年は、…

短編小説「春の農村にやってきた青年」18/千世鳳

……こりゃあ、いったいどうしたわけだろう! チベギの話では、精米所のモーターくらい大きなものでなければ風はおこせないと言っていたのに、こんなちっぽけなものが風をおこしてる? こりゃあ、まったく驚いたわ…

短編小説「春の農村にやってきた青年」17/千世鳳

その夜、二人は、隣の精米所から電線を引っぱってきた。そして、モーターに電線をつなぎ、ふいごと炉の間に羽根車のついたパイプを埋めた。彼女はとても気がきくので、キルスがいちいち言わないうちに、さっさと仕事…

短編小説「春の農村にやってきた青年」16/千世鳳

「ふーん、相当なもんだ」 「なにが相当なの? トラクターの運転でもしたんなら別だけど……」 「調節手だっていいじゃないか。ぼくなんか、まだ、それさえやってみたことがないんだ」 「あんまり、からかわない…

短編小説「春の農村にやってきた青年」15/千世鳳

「ええ……」 彼女はまだ胸がドキドキしていたが、笑顔でこう答えた。二人は仕事場に入っていった。 「何を作るの?」 「鍛冶屋の仕事を機械化しなきゃならないんでね」 「どうやって機械化するの?」

〈聴くシンボ〉(11月22日-11月28日)

「聴くシンボ」は、朝鮮新報電子版 DIGITAL SINBOのニュースを音声でお聞きいただけます。同サービスでは、1週間の主要ニュースをピックアップし、毎週日曜日にダイジェストでお届けします。生活のさ…