〈記憶を歩く〉大阪・在日朝鮮人1世/文昌範、高貞順さん夫妻(93、90)
2024年11月25日 09:27 記憶を歩く祖国解放から今年で79年、在日同胞コミュニティーの形成初期を知る多くの同胞たちがこの世を去った。それは同時に、祖国の分断に苦しみ、植民地宗主国・日本に暮らすという構造的抑圧のなかで生涯を終えた朝鮮人たちが数多く居ることを意味する。このような先代たちの記憶と営みは、明日を担う次世代が、自分たちのルーツについて考え、または向き合った際、欠かせない視点となるのではないか。そしてかれらの声を記録することは、同じルーツをもつわたしたちの役目ともいえるのではないか―。【連載】「記憶を歩く」では、今を生きる同胞たちの原点ともいえる在日朝鮮人1世たちの声から、「ウリ(私たち)」の歴史を紐解く。
“トンネがあったから生きられた”
昨夏に始まった本連載を通じて、これまで7人の在日朝鮮人1世を紹介してきた。かれ・かのじょたちが語るそのどれもが歴史の一部なのだが、一方でその声は、記録されず、または記録できなかったために、「公式」には刻まれていない歴史がこの世に溢れていることを気づかせてくれる。昨年の今頃、大阪で出会った文昌範、高貞順さん夫妻の体験もそうだった。

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