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〈金剛山歌劇団〉主要キャストに聞く、公演にかける思いと見どころ/朴琇香さん(1)

2022年10月22日 09:58 文化

世代をつなぐ役目果たしたい

2020年から始まったコロナ禍のなか、公演を通じて各地の同胞や日本の市民たちを勇気づけ、芸術文化の持つ力を内外に知らしめてきた金剛山歌劇団。9月からスタートした2022年度の巡回公演で、とりわけ印象に残ったのは、大型作品のみならず、独舞や独奏、独唱といったソロステージが豊富に披露され、観客たちの耳目を引いていたことだ。ステージを彩る主要キャストたちに、公演にかける思いと見どころを聞いた。(文・韓賢珠、写真・盧琴順)

独舞「パラの舞」を披露する朴琇香さん

2021年度の本公演では自身初となる独舞「双扇の舞」を披露した朴琇香さん(33)。入団12年目を迎える今年は、昨年に続き独舞で巡回公演のステージを飾る。朴さんが今回の公演で届ける作品「パラの舞」は、朝鮮民主主義人民共和国の人民俳優である故・任秋子さんが手掛けた代表作。会場では、任さんと踊り手の朴さん、さらには次世代の観客たちへと、作品を通じ在日同胞舞踊史の循環を感じることができるのも注目ポイントの一つだ。

朝鮮半島に伝わる打楽器・パラは、叩いたり、こすったりと楽器自体の振動によって音を出す楽器。朴さんは、このパラを使った自身の作品について「民俗舞踊という特徴以上にどちらかといえば信教的な踊り」だとその特徴を語る。今回のステージでは、巡回公演のテーマ「あの空に」に込められた朝鮮半島の統一への願いを、自身の作品と絡めて表現した。パラの響きや動作の角度といった魅せ方ももちろんだが、「嘘偽りない自分で、崇高な精神世界を表現しよう」と「表情」をもっとも意識し、作品を仕上げていったという。

例年は6月を前後して幕開けする金剛山歌劇団の巡回公演だが、今年は9月に始まるというスケジュールだった。8月からの全体練習では、限られた時間のなかで大きな集中力が求められ、練習後は早朝まで衣装作業をするなど「本当に大変だった」と本音をこぼす。

そんな葛藤のなかでも最大限の集中力を発揮できたのは、「巡回公演のテーマに団員たち皆が大事な意味を見出したから」だと朴さん。その一方で、「生き物である芸術」を前にして感じる葛藤も口にした。「集中して完成度をぐっと高める力があったとしても、それに甘んじて消化試合のようになってしまってはダメだ。そんなジレンマもあり、葛藤の連続なかで舞踊というものを究めている」。

渡り鳥のように

群舞「渡り鳥に願いを込めて」には巡回公演のテーマが全面に反映された

一方、巡回公演のテーマが最も反映されていると朴さんが語った群舞「渡り鳥に願いを込めて」は、2022年度の本公演に合わせて創作された新作だ。練習期間の感想を尋ねる筆者に対し、かのじょが一番にあげた光景は、宋栄淑さん(功勲俳優)が度々口にした、ある言葉だった。

振り付けを担当した宋さんは、朴さんはじめ練習に臨む舞踊手たちむけて、作品に込めた思いをこう伝えたという。

「大きな群れをなして空を飛ぶ渡り鳥は、途中、雨や風にさらされ、最後に残るのは数え切れるほど。だけどこの鳥たちは、それでも飛びつづける。この貴重さを同胞社会に引き付けて考案した」

朴さんはいう。「ウリハッキョに通う子どもたちや送る保護者たち、各地の総聯支部や本部、団体で働く活動家たち、そして地域コミュニティを支える同胞たち、信念を持ち進む過程にはたくさんの困難や犠牲があるかもしれない。それでもまっすぐに進み続けたその先に明るい未来への道が開かれると思う。まっすぐに進み続けた渡り鳥は、北から南まで朝鮮半島を自由に飛びまわることができる。そんな渡り鳥のように私も進み続けたいし、この思いを多くの同胞たちと共有したい」。

拍手喝采を送る観客たち

金剛山歌劇団の舞台俳優として、朴さんが考える自身の役割とは―。そこには「舞踊を通じて在日朝鮮人運動の代を継ぎ、守る役割を果たしていきたい」というゆるぎない思いがある。

「在日同胞という特別で特殊な私たちが届ける芸術だからこそ確固たる方向性が必要で、入団12年目を迎えたいま『ウリ式芸術』を追求する意義を強く感じている。同胞社会の活性化のためには、自分たちの世代が継いでいくことが何よりも重要だと考える」(朴さん)

 

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