〈ミュージアムで感じる朝鮮〉part4・国立民族学博物館 in大阪


東アジア展示「朝鮮半島の文化」

異文化への認識、世界一周した気分にも

訪問当日、案内してくれたスタッフが「すべて観て回るには一日あっても足りない」と博物館の規模の大きさや情報量の多さを語っていたが、その通りだった。紹介するのは、大阪府吹田市にある国立民族学博物館、通称「みんぱく」だ。万博記念公園の敷地内に1977年にオープンした「みんぱく」は、「博物館機能と大学院教育の機能を備えた文化人類学・民族学の研究所」として、開館以来、多くの人々に慣れ親しまれてきた。

1970年に開催された大阪万博跡地の一角に、この「みんぱく」があるのだが、広大な敷地もさることながら、所蔵する資料の数が34万5千点を超えることからも、その魅力は語り尽くせない。

世界を9つの地域に分けた地域展示と、音楽や言語の通文化展示からなる本館2階の常設展。ここに、東アジア展示「朝鮮半島の文化」があった。

本館2階に常設展示されている東アジア展示「朝鮮半島の文化」

常設展入口から展示ブースまで、急ぎ足で5分ほど歩いただろうか、観るものを圧倒する巨大な案内板が筆者を出迎えた。中に入ると、夏休みだからか、多くの家族連れがみえる。展示は「朝鮮半島に伝わる文化の歴史的な重なりや躍動性を、精神世界、衣食住、あそびと知をテーマに紹介している」(公式HPより)。

筆者が訪れた日、たくさんの人で賑わっていたのが、「住の文化」として屋外に展示された「酒幕(チュマク)[再現]」だった。酒幕とは、その昔、旅人が飲食や宿泊をする施設として利用した場所。同展示は、1920年頃に建てられたそれを再現したものだという。

実際に建物の中に入ることもできるうえ、民俗遊びのチェギチャギで遊ぶスペースがあったりと、人々がどのような暮らしをしていたのか、朝鮮の伝統社会を垣間見ることのできる象徴的な展示だった。

同館の太田心平さんによると、朝鮮半島の文化展示は、1983年3月に初公開された後、2000年と2014年の2回にわたり、大規模な展示替えがおこなわれた。なかでも現在の展示は、6つのセクション(精神世界、衣、食、住、あそび、知)が、時代区分にそって観覧できる工夫が凝らされており、初めて観覧した人も朝鮮文化がより身近に感じられる構成となっている。

たくさんの人で賑わっていた「酒幕」の屋外展示

とりわけ魅力的なのは、常設展そのものが、オセアニア地域を出発して東回りに世界一周し、最後に日本にたどり着く構成のため、すべてを観れば世界一周した気分に浸れるだけでなく、これまで触れたことのない多様な文化を、異文化としてなんら偏見なく認識することができる点だ。

また日本展示の最後には「多みんぞく二ホン」と題したセクションがあり、在日朝鮮人など日本に生きる多様なバックグラウンドを持つ人々を紹介しながら、共生社会の在り方を問う、1日でまわるには足らない充実の内容だった。

文化人類学・民族学の研究蓄積に基づき、世界各地の文化を発信する国立民族学博物館の展示について、太田さんは「文化人類学・民族学は、他者理解や多様性への理解が求められつつも、違いによる衝突が増す今日の社会でこそ、必要性を増している学問だということができる。人類が創り上げてきた文化の多様性は人類の宝だ。みんぱくの展示を観てくださった方々には、現物を前にすることで、こうしたことを実感していただきたい」と強調した。

(韓賢珠、おわり)

【見どころはココ!】

識者メモ・白凛さん(在日朝鮮人美術史研究者)

文化的背景の異なる地域の生活を、実際のものを通してイメージできるのが民博の魅力です。朝鮮半島のコーナーにも生活を垣間見ることができる資料が幅広く展示されています。済州島の家屋は懐中電灯を使って観察してみてください。野外展示の家屋に靴を脱いで入って、太陽の光を感じながら建築の特徴を見つけるのも楽しいです。展示コーナーが終わると、視聴覚コーナー、現物を手に取って観察することができるコーナーもあります。

施設情報

  • 開館時間:10時~17時(入館は16時半まで。毎週水曜は休館)
  • 住所:大阪府吹田市千里万博公園10-1
  • 問合せ先:06-6876-2151
  • アクセス:大阪モノレール「万博記念公園」駅 徒歩約15分
  • 入館料:一般 580円、大学生250円、高校生以下無料