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〈みんなの健康Q&A〉フレイル、オーラルフレイルって何ですか?/口から老化を防ごう

2021年12月26日 08:40 寄稿

些細な口の衰えに気づこう

Q 最近よく聞くフレイルって何ですか?

A フレイルの語源は「frailty(フレイルティ)」で「虚弱」を意味します。

フレイルは加齢により筋力や運動機能、認知機能が衰え、人や社会とのつながりが薄れて心身が弱くなり健康障害が出やすい状態のことです。フレイルは身体的フレイル、心理的・認知的フレイル、社会的フレイルで構成され、健康な状態と要介護状態の中間に位置しています。フレイルに陥ると要介護のリスクが高まると言われています。一方で適切な処置によりフレイルを予防したり、フレイルから健康な状態に改善することができます。

フレイル予防には、①栄養②身体活動③社会参加が必要です。健康状態でいれるように予防することとフレイルの初期で早めに気付いて対処することが重要です。家族や地域の人、同じ趣味の仲間など人とつながり、また周りの人がお互いに支え合い意識して早期に気付けることが大切です。

Q オーラルフレイルという言葉を聞きました。どういう意味ですか?

A オーラルは「口の」、フレイルは「虚弱」を意味し、「口の機能の衰え」をオーラルフレイルと言います。例えば滑舌が悪くなる、むせる、固いものが噛みにくい、口の中が渇くなどがあげられます。オーラルフレイルはフレイルの前段階に位置しフレイルの入り口であると言われています。

口の些細な衰えを放置し適切な処置をしないと、口腔機能だけでなく心身の機能の低下につながります。噛めない、むせる、飲み込めないと食事量の低下や栄養が偏り低栄養になります。低栄養になると筋力の低下や免疫機能の低下や認知機能の低下にも影響を及ぼします。また滑舌が悪い、見た目が気になるなどはコミュニケーションに影響を与えます。些細なきっかけで会話が減ったり、むせることが怖くて外食が減ったり、人とのコミュニケーションや活動範囲が減ると孤立や閉じこもり、うつや認知機能の低下など全体的なフレイルに関連していきます。

噛めない、むせる、見た目や口臭などの気になることをそのままにせずに、歯科で相談して適切な処置をしましょう。放置して負のスパイラルに入らないように早めの対処が大切です。

Q オーラルフレイルを予防するにはどうしたらよいですか?

A オーラルフレイルの進行には4つの段階があります。①口の健康への関心が低下しむし歯や歯周病で歯を失う。②滑舌が悪くなる、食べこぼし、噛めない、むせるなどにより食欲の低下や食べられる食品が減る。③噛む力、舌の力が弱くなり食べる量が減り低栄養やサルコペニアになる。④咀嚼障害、摂食嚥下障害となり要介護状態になると言われています。

歯を失うと食べる機能が落ちて低栄養になってしまうので、そうならないように治療し日々のセルフケアと定期的なメインテナンスを続けることが大切です。

また日常的には良く噛んで栄養バランスの良い食事をし、カラオケや会話、音読などで口を動かすこと、ウォーキングやストレッチ、スクワットなど簡単な全身運動をしましょう。

日々の口腔ケアは歯磨きと舌や口などを鍛える体操をしましょう。

Q フレイル予防には食事が大切ですが、最近うまく食べられなくて食事がおろそかになっています。

A フレイル予防に食事は大切です。栄養不足から筋肉、体力の低下につながるので口は健康の入り口と言えます。まず食べられない原因は何でしょうか。痛いのか歯が無いのか、治療して噛む機能を作りましょう。また口や全身の筋肉が衰えている可能性もありますので口腔体操や全身の体操をしましょう。

歯や口に不具合があると噛めないからと柔らかいもの中心になったり、食事の偏りから低栄養になります。低栄養になると丈夫な体を作ることができずに、ますますフレイルのサイクルになります。食事は①噛む回数が増えたり噛む力が必要な噛みごたえのある食材を取り入れる。根菜類やきのこ類、海藻類など食物繊維が豊富なものを意識して使う。②肉や魚など筋肉を作るたんぱく質を意識して摂る。③ビタミンやミネラルなど栄養バランスの良い食事をする。④食材は大きめに切り、歯ごたえのあるくらいに調理する。

現時点で口の中に問題が無い方はなるべく噛むことを意識した調理をして食事で噛む力を鍛えましょう。口の中に問題があり食べられない方は治療をしながら、食事はとろみをつけたり、煮込んで柔らかくするなど工夫してまずはしっかり栄養を摂る事が大切です。

Q オーラルフレイル予防の体操を教えてください。

A 次のような体操を紹介します。

①頬の体操→唇を閉じて頬を膨らませて5秒キープ、すぼめて5秒キープを2、3回

②唇の運動→唇をウーと突き出す、イーと横に引く。5回繰り返す。

③舌の運動→舌を前に突き出す、引っ込める。舌を出して左右に動かす。舌を突き出し上下の唇につける。各5回。

④パタカラ体操→パパパ、タタタ、カカカ、ラララ各発音を8回。舌や唇を意識しながらはっきりと発音する。

⑤唾液腺マッサージ→耳下腺、顎下腺、舌下腺を刺激する。耳の前の部分に指をあて後ろから前にぐるぐるマッサージする。下顎の内側に親指を当て耳の下から顎の下まで顎のラインに沿って5カ所くらい順番に押す。親指を顎の下に当て押す。各5~10回。

⑥嚥下体操→食事の前に深呼吸と伸びをする、首の運動(前後・横・左右に動かす、回す)、肩の運動(上下に動かす)、頬、舌、口の運動をすることで嚥下しやすくします。

この他にもいろいろあるので、ご自身にあったものを無理せずやってみてください。

洪須美(歯科衛生士)

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