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「武蔵美×朝鮮大 突然、目の前がひらけて」展/“壁越しに重ねた言葉と時間”

2015年11月26日 16:46 主要ニュース 文化 民族教育

 両校隔てる壁に架けられた「橋」

東京都小平市に、一枚の壁を隔てて隣接する武蔵野美術大学と朝鮮大学校。50年以上隣り合いながらも表立った交流のなかった両校の関係に今、変化が起ころうとしている。

「武蔵美×朝鮮大 突然、目の前がひらけて」展(撮影・盧琴順)

「武蔵美×朝鮮大 突然、目の前がひらけて」展(撮影・盧琴順)

武蔵美と朝大に橋をかける――。今回の「武蔵美×朝鮮大 突然、目の前がひらけて」制作委員会の一人でもある灰原千晶さん(25、武蔵美卒業生)は、2011年に両大学を隔てる壁に武蔵美側から半分だけの橋を架け、「渡れるかもしれない橋」と名付けた。「何をつくっているの?」。その制作風景を朝大側から眺めていた男子学生の質問だった。言葉を交わすうちに、朝大にも美術科があることを知り、以降、武蔵美と朝大の断続的な交流が始まった。そして2015年、その交流は両校に橋をかける一大プロジェクトへと発展した。

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橋の上に立つ「武蔵美×朝鮮大 突然、目の前がひらけて」制作委員会のメンバーたち(撮影・全賢哲)

「メンバーとの対話の中で、改めて自分が在日であるということを突き付けられた」。李晶玉さん(24、朝大研究院生)は、プロジェクトの過程をこう振り返る。両者の間には、複雑な歴史や政治の諸問題が横たわっていた。歴史の教科書や書籍を交換し、幾度も質問をぶつけあった。「地雷を踏むのを避けようと逃げていては、話が進まない。日本人と在日として対話のテーブルに座り、激論を交わし、時間を積み重ねる中で、『在日という属性』よりも『私という人間』が彼女たちの中で大きくなっていったことを感じた」。

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