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「朝鮮人でいいんだ」/感謝の気持ち伝えた兵庫学生会公演

2014年04月02日 13:32 文化 主要ニュース

兵庫学生会による文化公演「希望の翼を広げて」が3月29日、神戸市立垂水勤労市民センターで行われた。2年ぶりの兵庫学生会公演は、今回で20回目を数える。この日は18人の学生会メンバーが舞台に上がり、神戸朝鮮高級学校の生徒たちも友情出演し、公演に花を添えた。会場にはメンバーの保護者をはじめ兵庫、大阪などから約200人の同胞、日本人が駆けつけた。

公演を披露する兵庫学生会メンバー

公演を披露する兵庫学生会メンバー

日本学校に学ぶ中高生たちが年間を通じて行ってきた学生会活動の集大成とも言える公演では、朝鮮の歌や舞踊、漫才、民族打楽器を使った演目などが披露された。学生会活動の必要性を訴えかけた演劇では、客席からすすり泣く声も聞こえた。また、今公演を最後に学生会活動を卒業するメンバーが両親や、これまで温かく見守ってくれた朝青の先輩たちへの感謝の気持ちを涙ながらに伝えた。

文化公演実行委員長の徐正斗・朝青兵庫県本部委員長は、昨年12月から始まった練習を通じてメンバーたちは一歩一歩成長していったとしながら、学生会活動は、朝鮮人である自分としっかり向き合い、それを肯定する過程だと話した。そのうえで、日本学校に通いながらも民族の自覚と誇りを持って、在日朝鮮人としてしっかりと歩んでいける土台を、これかもともに築いていきたいと話した。

大切な自己肯定の場

「これまで練習をみんながんばってくれたから、大成功することができた。本当にうれしい」。兵庫学生会公演(3月29日)の興奮そのままに、鄭捺希さん(西宮支部)は目を輝かせた。高3への進学を機に、2014年度から姉の鄭祐希さんの後を継ぎ会長となる鄭さん。やるべきことはたくさんあるが、今後リーダーとして後輩たちを引っ張っていきたいと笑顔を見せる。

姉に連れられ、小学2年生の頃に支部で行われてた夏季学習に顔を出したのが始まりだった。小6で初めて参加したサマースクールでは、同じ境遇にある同世代の友だちに多く触れ、衝撃を受けたという。以来、毎年参加している。最大の盛り上がりを見せるキャンプファイヤーでの一体感は、言葉で言い尽くせないものがある。「学校でも部活でもバイトでも、得ることのできない感覚が学生会にはある。朝鮮人としての自分をそのまま受け入れてくれる存在は、本当に大きい」。

4月から大学へと進む康世実さん(西宮支部)は公演後、「自分が誰なのかをしっかりと考えさせてくれる、背筋をピンと伸ばしてくれるのが、学生会。感謝の気持ちでいっぱい」だと、これまでの日々を振り返った。

きっかけは中級部2年の時に参加したサマースクール。昨年は受験勉強のため参加できなかったが、「後悔している」ほどだという。同じ悩みを抱えて暮らす友だちと出会える場所は、「すごく楽しかった」。班討論では、朝鮮人としてどう生きるのかを本気で語り合ったりもした。忘れられないのは、朝高生がかけてくれた言葉だった。「朝高生も学生会も、朝鮮人として生きようとする気持ちは一緒って言ってくれたことが、本当にうれしかった」。

学生会活動の集大成となる公演は、その間のメンバーたちの成長過程を披露する場でもある。

会場には約200人の同胞、日本人が駆けつけた

会場には約200人の同胞、日本人が駆けつけた

この日、司会を担当した金洋子さん(西神戸支部)のオモニ・崔幸子さん(51)は、夫と共に舞台上の娘の姿に目を細めていた。金さんが朝鮮語をスラスラと話す姿に、「いつの間に練習に行っていたのか」と驚いた様子だったという。

朝鮮学校出身の崔さんは、日ごろから子どもたちには自分の出自を肯定的に捉えたもらいたいと願い続けてきた。公演を通じて、普段家では見ることのできない一面を新たに発見したという。「子どもに朝鮮人としての認識が芽生えていることに、うれしさを感じた」。

学生会活動で帰りが遅くなり心配することもしばしばだが、「朝鮮人の友だちと交流し楽しそうにやっている姿を見ていて、このまま続けて欲しいと思う」。

(鄭茂憲)

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