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短編小説「魚のために道をひらこう」10/陳載煥

あわてたテソンは、ジュンハの枕元にひざをつき、自分の冷たい手をジュンハのひたいにそっと当ててみた。ひたいは焼けるように熱かった。 「だいぶ熱があるんですね……」

短編小説「魚のために道をひらこう」7/陳載煥

2章 テソンの後ろからついていくジュンハは、少し行っては足を止め、杖を持ったまま、やれやれと腰をのばし、はるか上流や四方をきょろきょろ見まわしては、またとぼとぼ歩きだすのであった。彼は、しきりに人家を…

短編小説「魚のために道をひらこう」7/陳載煥

2章 テソンの後ろからついていくジュンハは、少し行っては足を止め、杖を持ったまま、やれやれと腰をのばし、はるか上流や四方をきょろきょろ見まわしては、またとぼとぼ歩きだすのであった。彼は、しきりに人家を…

短編小説「魚のために道をひらこう」6/陳載煥

こうして二人の間に、15年続いた友情と親愛感がよみがえったかに見えた。 「下流から始めようじゃないか……」 踏査のプランを相談しているとき、ジュンハがこう言いだした。実はテソンは、上流から調査を始めた…

短編小説「魚のために道をひらこう」5/陳載煥

「そんなことは絵に描いた餅と同じで、できやせん!」 「おれはやるよ。嫌だったら黙ってひっこんでろ! おれは、必ず自然養魚をやってみせるから!」 ついにテソンは、休暇を利用して480キロにわたる大同江の…

短編小説「魚のために道をひらこう」4/陳載煥

ところが養魚場の池を作る段になると、二人の意見は食い違った。ジュンハは科学的に、また技術の面からみて、池の周囲に木を植えてはならないと主張したが、テソンはそれにはかまわず、わざわざ周囲にびっしり木を移…

短編小説「魚のために道をひらこう」3/陳載煥

いろいろな思いに時のたつのも忘れていた彼は、ふとわれに返ると先を急がなければ……、一秒でも遅くなると、それだけ河を裏切るようでぐずぐずしてはいられないと心があせった。 水をくんで米を洗い、魚を料理して…

短編小説「魚のために道をひらこう」3/陳載煥

いろいろな思いに時のたつのも忘れていた彼は、ふとわれに返ると先を急がなければ……、一秒でも遅くなると、それだけ河を裏切るようでぐずぐずしてはいられないと心があせった。 水をくんで米を洗い、魚を料理して…