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短編小説「鉄の歴史」10/ビョン・ヒィグン

「そういわれてみると、まったくそのとおりです。今までわしらは、炉の壁でもつみあげてさえいればよかったで、世間のそんなむずかしいことなど、なにも知らなかったもんで…」 ウンチルは自分があまりにも世情にう…

短編小説「鉄の歴史」7/ビョン・ヒィグン

ビョンドのいいぶんにウンチルもことばを返すことができなかった。 今すぐに、口しのぎのできる仕事を見つけてやらないかぎり、さびしいことだか、工場を離れるというかれを引きとめる手だてとてなかった。けれども…

短編小説「鉄の歴史」6/ビョン・ヒィグン

「はい、そのとおりです」 「あのときも私たちは、じつに苦しいたたかいをしたものでした…」

短編小説「鉄の歴史」5/ビョン・ヒィグン

ウンチルは、やっと、自分が肩に背のうをかけたままでいたことに気がついた。そしてあわてて、 「実は、工場を復旧するさい、何かの役にたてようかと思いまして、工場に散らばっているねじ釘を…」といって、ことば…

市職員の差別発言、生活保護申請者が人権救済申立て

日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。※次回の配信は1月11日(水)になります。 ウトロに太陽光発電所を、市民らの実践つづく 京都府宇治市にあるウトロ平和祈念館の屋上に、市…

短編小説「鉄の歴史」4/ビョン・ヒィグン

質素な身なりをした人物が朝もやの中から姿をあらわした瞬間、ウンチルは感電したようにその場に釘づけになってしまった。かれはわが目を疑った。いくら目をしばたたいて見ても、それはまぎれもない金日成首相だった…

短編小説「鉄の歴史」3/ビョン・ヒィグン

だが傷は致命的であった。ビョンドはあくる日の朝、息を引きとった。 「おい、ウンチル、わしらが溶鉱炉を復旧したら、首相さまをお迎えして、わしらの手で最初の溶銑を流そうと約束したっけな…だけどこのからだじ…

短編小説「鉄の歴史」2/ビョン・ヒィグン

その日、高射砲によって10機も撃墜された損害にもこりず、敵機は二度にわたって平炉職場を爆撃したのだった。 平炉職場では流出の瞬間をひかえて、鉄がぐつぐつとにえたぎっていた。ところが、最初の爆撃のとき近…