〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 32〉歴史否定を上塗りする「追憶」/古山高麗雄③
2021年05月23日 08:00
近年日本の歴史否認の政治と言説・思想状況を作り出しているのは、「韓日右派ネットワーク」による「和解」や「合意」の合作であるが、日本の左派やリベラル派を名乗るメディアや知識人もこの「韓日合作」の過去否定…
〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 31〉二人の元戦犯を重ねて考える/古山高麗雄②
2021年04月12日 07:00
古山高麗雄について読み直しこの文章を書いているさなかの3月28日、李鶴来さんの訃報に接した。第2次世界大戦の戦犯裁判でBC級戦犯として一度は死刑を宣告され、有期刑に減刑された後、1956年に仮釈放され…
〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 30〉何からの「未/復員」なのか?/古山高麗雄①
2021年03月14日 07:00
前回までとりあげた後藤明生とともに「内向の世代」に数えられ、かつ同じく植民地朝鮮出身の作家に古山高麗雄(ふるやまこまお)がいる。1920年新義州生まれ(そこから「高麗雄」と名付けられた)の古山の方が年…
〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 29〉「実感」の政治と歴史否認の土壌/後藤明生④
2021年02月13日 08:00
後藤明生は少年時代の朝鮮体験、引揚げ体験に基づき、「一通の長い母親からの手紙」(1970)、「挟み撃ち」(73)を書いた後、朝鮮での記憶と現在とを往復する連作を続け、それらは連作小説集「夢かたり」(7…
〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 28〉「実感」に閉じこもる個人の「記憶」/後藤明生③
2020年12月31日 06:28
後藤明生の「挟み撃ち」(1973)は、中学一年のとき朝鮮北部で敗戦を迎えた主人公赤木が、帰国後数十年を経て、ロシアの作家ゴーゴリの小説「外套」の内容を作中でなぞりつつ、かつて身に着けた旧陸軍の外套の行…
〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 27〉操作され正当化される「記憶」/後藤明生②
2020年11月29日 07:00
後藤明生という名前すら今ではほとんど忘れ去られてしまっている感があるが、代表作である「挟み撃ち」(1973年)へとテーマ、内容とも継承される「一通の長い母親からの手紙」という作品がある。後藤明生の特徴…
〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 26〉「無知と無視」「開き直り」と、「内向」と/後藤明生①
2020年11月01日 06:17
今月16日、高校無償化制度からの朝鮮学校除外をめぐり、またもや広島高裁による不当判決が下された。その翌日、巨額の税金を費やし中曽根康弘元首相の合同葬が行われた。同時進行されたこの二つの醜悪な風景が、ど…
〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 25〉文学が語る「夢」「幸福」/朝大文学カフェにて
2020年08月31日 17:16
勤務先である朝鮮大学校朝鮮問題研究センター・朝鮮文化研究室の企画の一環として、今年度「朝大文学カフェ」という文学読書会形式の学習会を立ち上げた。その本格的な運営に先立つプレイベント、試験的なパイロット…
〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 24〉「仮面」と、他者と、朝鮮人と/安部公房⑤
2020年07月17日 15:23
「他人の顔」(1964)の主人公は、事故で顔を失ったことが自己の喪失へとそのまま結びつく苦悩に苛まれる。数回にわたり安部公房の植民地体験をとりあげた本連載の問題意識からすれば、「顔」を失うことは、その…
〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 23〉「顔」について、「仮面(マスク)」について/安部公房④
2020年06月22日 11:21
「アベノマスク」の話をしよう。といっても、すこぶる評判の悪い例のマスクの話ではなく、安部公房の書いた「マスク=仮面」についての物語を紹介したい。 自分の「顔」が、ある日何らかの理由で失われ、全く別のも…