抜け落ちた朝鮮人の姿/佐渡鉱山の世界遺産登録
2024年08月01日 09:00 社会戦時中に朝鮮人が労働を強いられた佐渡鉱山の世界文化遺産登録が7月27日、インド・ニューデリーで開催されたユネスコ世界遺産委員会で、21の委員国による全会一致で決定した。
かつて明治政府の官営だった佐渡鉱山は、1896年に三菱合資会社の所有となり、1918年からは三菱鉱業が管理。43年以降はアジア太平洋戦争のための兵器生産を目的とした銅の採掘が行われるなど、日本の侵略戦争遂行のための重要な生産場であった。
これと関連し、『新潟県史 通史編8近代3』(1988 年)には「強制連行された朝鮮人」の項があり、そこでは「昭和 14 年(1939年)に始まった労務動員計画は、名称こそ『募集』、『官斡旋』、『徴用』と変化するものの、朝鮮人を強制的に連行した事実においては同質であった」と指摘。新潟県相川町(現・佐渡市)の『佐渡相川の歴史 通史編近・現代』(1995 年)でも「佐渡鉱山の異常な朝鮮人連行」について記すなど、佐渡への朝鮮人強制連行は地元自治体が認めた歴史でもある。