【新連載】佐渡は語る―朝鮮人強制労働に目を/消えうる歴史を衝く


佐渡鉱山での朝鮮人労働

佐渡鉱山では数多くの朝鮮人が労働を強いられた

2023年の世界文化遺産登録に向け、日本政府は佐渡鉱山(新潟県佐渡市)を推薦した。

1800年代に金や銀を手作業で採掘・精錬し、日本一の金の産出量を誇ったこの山を、多くの人は「佐渡金山」や「佐渡金銀山」と呼ぶ。

佐渡「金山」は一方で「鉱山」としての側面も持っていた。1896年に三菱合資会社に払い下げられた佐渡鉱山では、1918年から三菱鉱業の管理のもと多くの労働者が金、銀、銅の採掘に従事した。43年以降はアジア太平洋戦争での兵器生産を目的に、銅の採掘に力が注がれた。侵略戦争遂行のための直接的「貢献」の場として機能していたのだ。

その中に、朝鮮人の姿もあった。かれらは植民地支配下、異国の地で鉱山労働を強いられ、数多くの命を落とした。しかし現在日本では、その影の歴史を否定する動きにある。

昨年12月に文化庁(世界文化遺産への推薦などを所管)文化審議会は、世界文化遺産登録を目指した新潟県と佐渡市の推薦を受け、佐渡鉱山を21年度の国内推薦候補に選定するよう答申。一方で「推薦の決定ではない、政府内で総合的に検討する」と異例の言及を行った。

日本政府の判断に注目が集まるなか、今年1月19日に「韓国反発で佐渡金山の世界遺産推薦見送りへ」(読売新聞)と報道が出る。国内外からの反発を受け、登録の見通しが立たないと政府が判断したと、複数の政府関係者が明らかにした内容だった。しかしこのニュースが拡散されると事態は一転。日本の保守勢力やメディアは一体となって推薦を「後押し」した。

日本政府は28日、当初の方針を変え登録に向けて推薦する意向を表明し、2月1日には推薦書をユネスコに送った。

北南朝鮮からも、佐渡鉱山の推薦を反対する声があがった。侵略と犯罪の痕が残る鉱山は世界文化にふさわしくないという主張が相次いだ。しかし日本は政府をあげて歴史否定の動きに舵を切り、マスコミもこれに荷担。佐渡での朝鮮人強制労働の歴史は今、なかったことにされようとしている。

この地での朝鮮人強制労働の実態を探るべく、国際的な関心の渦中にある佐渡を訪ねた。3回にわけて紹介する。

(金紗栄)